やまじ風
やまじ風の発生数

やまじ風の定義

 高見(1991)は,三島アメダスのデータを用いて,次の条件で,やまじ風の発生頻度などを調べている.
    (1)平均風速が5 m/s以上あること
    (2)風向が南東〜南西であること
   (3)フェーン現象による昇温が確認できること

 三島アメダスの地点は,やまじ風が強く吹く地域から離れているが, これまでのデータで検証してみると,三島アメダスでの風速に対して, 寒川の三島南中学校では,平均風速は1.7倍以上,最大風速は2.2倍, 三島アメダスの平均風速に対して最大瞬間風速は3.3倍以上,となっているので, 三島アメダスで平均風速5m/s以上という基準でも,寒川では風力6以上の風が吹いていると想定される. 同じ基準により,白鳥(2000)と紀井(2008)はそれぞれ1980年〜1998年と1999年〜2007年におけるやまじ風の発生日を調査している. 以下の図は,これらの調査による1980年〜2007年の発生数を示している.

 やまじ風は,平均すると1年あたり14回発生し, 最大風速が10 m/s以上のやまじ風は,1年あたり2回程度発生している. やまじ風の発生数は3〜5月にかけて多く,この3ヶ月の発生数は年間の約半数を占める. やまじ風は,ほとんど温帯低気圧および台風によって発生するが,それぞれの原因による発生率は前者が85%,後者が15%である.台風によるやまじ風の発生は7月から9月に多く見られる.
 
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 三島アメダスによるやまじ風の年別発生数(最大風速の階級別).
三島アメダスの風向風速計の地上高は1996年3月に6.1mから10.5mに変更になった.

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三島アメダスによるやまじ風の年別発生数(原因別).

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やまじ風の月別平均発生数

参考文献
白鳥 勇,2000:やまじ風の発生頻度について,香川大学教育学部平成11年度卒業論文,49pp.
高見佳浩,1991:「やまじ風」の調査−やまじ風の発生頻度について−,日本気象学会関西支部例会講演要旨集,第58号,18-21.
紀井伸章・寺尾 徹・松村雅文・森 征洋,2008:やまじ風発生時の気象状況について(1)−統計的特徴−,香川大学教育学部研究報告,第U部,第58巻,第2号,53-84.
大阪管区気象台,1958:「やまじ風総合調査報告」,57p.