<20120216>
 
第80回国立大学教育実践研究関連センター協議会 報告 :
東京学芸大学にて行われ、本センターから1名の専任教員が参加しました。部門報告・事業報告の後、デジタル教科書や教職実践演習の進歩状況の報告及び意見交換が行われました。
 

第80回国立大学教育実践研究関連センター協議会 報告


○開会
 平成24年2月16日(木)に、第80回国立大学教育実践研究関連センター協議会が東京学芸大学にて開催された。下村勉会長、文部科学省高等教育局大学振興課教員養成企画室長補佐・君塚剛氏そして主催校から村松泰子学長のご挨拶があった。
 君塚氏からは、国際競争を視野に入れたグローバルな人材養成が重要であり、それに向けた初等中等教育の充実が求められるとのことであった。何より教員の資質能力の向上が目指されており、教員免許制度改革、教員のキャリアアップなどについてもふれられた。とりわけ制度の見直しの中での課題として、実践力のある教員養成、教育委員会との連携が問われており、養成と研修の一体化のより一層の充実が求められるとのことであった。高等教育(教員養成機関)においては、フィールドワークなどを通した学びを行いつつ実践的指導力を培っていくとともに、その成果を現場にフィードバックしていくことが重要とのことであった。さらに、ICTの教育活用を進め、これまでの学びの形態(個別・共同)の在り方を問うとともに、授業の設計力を育成することの必要性についてもふれられた。東日本大震災にかかわっては、ボランティアについて、組織として、教員として、学生として、どのようにかかわっていくのか、積極的な議論が必要とのことであった。最後に、センターの役割について、機能の強化、社会的貢献の視点から引き続き検討していくことが必要であるとのことであった。
 村松学長からは、東日本第震災にかかわり、すでにボランティアとして、1,000名を超す学生が参加しているとのことであった。東京への避難している子どもたちへの支援も積極的に実施しているとのことである。村松学長は資質能力特別部会の委員として参加していることから、教員養成の修士化への議論についての紹介もあった
 
○議事・報告
 2011年度の事業についての報告及び各部門(教育臨床、教育実践・教師教育、教育工学・情報教育)からの報告があった。今回から、教育実践と教育工学部門を、従前のように3部門にわけて実施していくことになった。その他として、茨城大学から、センター改革として、現在の2部門4分野体制から、教員養成支援部門と地域教育支援部門の2部門に整備するとの報告があった。
 次回の第81回大会は、9月14日に長崎大学で開催されることになった。
 
○東日本大震災被害への各センターの取り組み
 福島大学、宮城教育大学、岩手大学、東京学芸大学、奈良教育大学及び和歌山大学の6校から報告が行われた。
 各大学の取り組みが紹介された。心のケアやPTSDの問題へのセンター教員の取り組みの報告が中心であった。奈良教育大学からは、宮城教育大学教育復興支援センターと連携し、被災した地域の学校等において、学習補助等を中心とした教育復興活動を継続的に行っていくとのことであった。センターとしては、ここでの学生ボランティア活動をモデルとして、今後、災害時の学生ボランティアの支援モデルを構築していくようである。和歌山大学では、センターの1プロジェクトとして(教育の情報化プロジェクト)、文部科学省の「復興教育支援事業」の採択を受けているとのことである。「実施計画書」をもとに説明がなされ、防災対策・教育に取り組む和歌山の教育機関と福島の教育機関をつなぐ事業を進めているとのことである。とりわけ、情報機器を活用した学校間交流モデルの構築を目指していくようである。
 
○参加しての感想
 めまぐるしい改革の中で、各センター間でのさらなる情報交換の必要性を再実感することになった。今回の会では、教職実践演習にかかわる話題がほとんどでなかったが、各大学ですでに一定の方向性を見出したことによると思われた。
 東日本大震災への、ボランティア等の取り組みについて、また防災教育・学生の災害時のボランティア活動について、今後、各大学で検討していく必要性を感じた。ただし、教員養成カリキュラムに組み込んでいくことには難しさを感じた。時間的な制約もあり、学生ボランティアの安全確保をどう考えるか等の議論は少なく、今後、こうした視点からも議論を詰めていくことが重要となろう。
 今回の会では、教員養成段階でのICT活用の話題が多く出された。研修段階ではかなり進んいることから、今後、養成段階での議論が進められていく様相である。
 (文責 山岸知幸) 
 

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