香川県の強風について
まとめ
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  2003年8月から1年間に,三野で最大瞬間風速25m/s以上かつ平均風速(または最大平均風速)12m/s以上が観測された日数は11日あった。これは冬季季節風が卓越する12月〜3月にほぼ集中しており,温帯低気圧が日本を通過した後に発生していた。
  西よりの三野強風日の香川県下の風向は,全域でほぼ西よりで,風速は三豊平野と丸亀平野の沿岸部で大きく,高松平野と丸亀平野の内陸部で小さくなる傾向が見られた。
  三野の平均風速は,多度津測候所が西の風向のときに最も強くなり,多度津測候所と比べて約1.3倍,仁尾と比べて約1.6倍であった。これは,三野町周辺の地形による影響と考えられるが,この原因を明らかにするためにはさらなる調査が必要である。
  三野強風が観測されたとき,等圧線の走向に対応する地衡風の風向は,北〜北西の範囲であった。このことより等圧線が南北に延び,西高東低の冬型の気圧配置が強まったときに三野強風が発生することが分かった。
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  西高東低の冬型の気圧配置のとき,ウィンドプロファイラで観測された高松上空約400mの風向も,西よりであった。香川県の大気境界層の下層で見られる風の特徴は,気圧場によって西よりか東よりかのどちらか一方の風向が卓越していた。気圧場から求めた地衡風の風向が,東北東〜西南西の線を境に北半円にあるときは上空の風向は西よりとなり,南半円にあるときは東よりになっていた。西よりの三野強風が観測されたときの地衡風の風向は,北半円の一部にあたる北〜北西の範囲にあり,地上風向は大気境界層の下層の空気の流れに大きく影響を受けていることが分かった。