会長挨拶

(日本温泉科学会入会のお誘い)

由 佐 悠 紀


 温泉は,地球内部の熱エネルギーに起因する諸現象のうち,人類に幸せをもたらしてくれる唯一の現象です。豊富な温泉資源に恵まれた日本列島に住む私たち日本人は,古来,おそらく記録が残されていない太古の時代から連綿と,その恵みを享受してきました。温泉との関わりあいは,豊かな内容を含む文化と言うことができます。そうした温泉に関する諸々の科学的研究調査を推進し,温泉に関わる施策の基礎確立に寄与することを目的として,昭和15(1940)年11月,日本温泉科学会が設立されました。
 その後の長い活動を通して,温泉科学はそれぞれの専門分野で発展・深化しました。しかしながら,たとえば「物理学的手法」あるいは「化学的手法」による描象は,温泉の一側面に対するものでしかありません。ここに,温泉を総合的にとらえる視点が必要となります。
 日本温泉科学会は,これまでにも増して,自然現象である温泉,温泉と関係のある諸々の現象,そして,それらと人間との関わり合いなど,温泉に興味をもつすべての人々が参加し,温泉を多面から討論し,より深く理解する場を提供できる,開かれた学会となることを目指しています。
 この趣旨にご賛同いただき,多くの方々が本学会にご入会くださいますよう,ご案内申し上げます。

 モンゴル・シャルガルジュート温泉。首都ウランバートルの南西約600kmの丘陵地帯にある。
 花崗岩の割れ目などから,ガスを伴って90℃に近い高温の温泉水が沸きだしている。

(2000年6月28日:田籠功一氏撮影)

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