No. 7                              平成12年12月20日発行

   目 次


特 集

「学部・附属学校園合同研究集会」報告
 
                          センター長 藤本 光孝
 
 教育学部教官と附属学校園教官との合同研究集会は、平成12年11月22日(水)16時30分から、教育学部415講義室を主会場にして開催され、合せて130人余りの教官が参加した。この研究集会は、附属教育実践総合センターの平成12年度事業の1つとして計画されたものであるが、その後、教育学部行事として認められたものである。本研究集会は、教育学部と6附属学校園との関係教官の度重なる詳細な打合会を経て、具体化された。
 この研究集会の趣旨は、
(1)教育学部教官と附属学校園教官とが一堂に会して、それぞれの現況と今後の展望を考え、地域に開かれた教育学部と附属学校園との関係の在り方を考える機会とすること、
(2)教育学部と附属学校園との関係の在り方を、「連携から共同した関係」へと転換し、地域の学校教育、社会教育、生涯教育等の教育に関する課題にかかわっていくことを通して、教育学部と附属学校園の存在を再確認すること、
(3)教育学部教官と附属学校園教官とが設定された今回のテーマについて広範な討論を展開する機会を共にすることを通して、今後の教育学部教官と附属学校園教官との関係の再出発の機会とすることにある。
 当日は、全体会での基調報告に引き続いて、4つの分散会で、「地域についての意味づけ」、「地域への貢献」等について活発に、建設的な検討が行われた。今回の研究集会は、研究集会の趣旨についての一層の理解と、教育学部教官と附属学校園教官との相互理解の一層の強化の機会となったことは事実であろう。
 今回の研究集会や各分散会での討論内容、さらには今後の地域に開かれた教育学部と附属学校園との関係の在り方等については、平成12年度香川大学学長裁量経費に基づくプロジェクト研究「地域に開かれた教育学部と附属学校園との連携」としてまとめ、公表する予定である。
 


《 参 加 者 の 声 》
 
小学校・中学校・大学の連携の場として
                        附属高松中学校  久保田恭子
 
 学部・附属学校園教官合同研究集会の全体会会場に一堂に会した学部・附属学校園の教官のお顔を拝見して、「日頃、お忙しい先生方がこれだけ集まることは大変なことだろう」というのが、まず始めに持った感想であった。お世話をいただいた教育実践総合センターの先生方のご苦労がうかがわれた。分散会では、自分の専門分野に分かれて会がもたれ、「今以上に多くの学部教官に教育実習生の授業を参観していただきたい」「学部教官の研究内容を教えていただき、専門的なご助言をいただきたい」などの意見が出されていたが、私も全く同じ気持ちで聞いていた。
 会終了後、教科の小・中附属教官と大学の教科教育の先生が全員顔を合わせたということで、お互いに現在自分が取り組んでいる研究について、成果や課題さらには悩みについて自然に報告し合う形となった。悩んでいることについては大学教官にご指導をいただきながら、4人で話を進める中で、「小学校でどんな学習をしているのか知りたい」という思いが強くなった。私の教科は、学習内容において、小・中で重複するものがあり、授業時数削減の折、検討すべきことも多いと考えていたので、少しの時間がとても有意義に過ぎていった。そして、数月後に控えた小学校の先生の研究授業のご案内をいただき、参観して勉強をさせていただくことができた。合同研究集会がよい機会を作ってくれたと感謝している。
 同じ附属学校園でいながら、同教科で会うことがなかなか実現しにくい現状があるため専門教科で学部・附属学校園の教官が話し合える時間も作っていただけると具体的に研究や教育実習について討議ができるのではないかと思う。現場で実践している者としては、その際、多くの学部教官から、それぞれの専門的立場でご意見、ご助言をいただき、授業の中で生かしていくことができればと考える。
 
 
第1回学部・附属学校園共同研究集会に参加して
                           附属坂出中学校 環 修
 
 さる11月22日(水)にはじめての学部・附属合同研究集会が開催されました。これまでにも校内の研究集会の折りに学部の先生方にともに討論に参加していただいたりしていましたが、その趣旨とはちがって、今回は「地域に貢献するためには」というねらいをもって今後の連携・協力の在り方をさぐろうとするものであったので、新鮮な感じがしました。また、これまで以上に、新たな取り組みを始めなければならないし、そういった意識をまずもつ必要があると感じた次第です。
 今回強く思ったのは、まず何よりもすべては「会って話し合う」ということから始まるわけで、「ともに話し合う」機会を今後自分たち一人一人からつくっていこうという意識を互いに高めること、そして確認し合うことができたように思います。これからも今まで以上に学部の先生方には気軽に附属の方へ学生さんをつれて実践を見に来ていただきたいと思っています。
 
 
第1回合同研究集会に参加して
                     香川大学附属高松小学校 高尾 明博
 
 大学を卒業してはや十数年、研究室の方に足を運ぶことは何回かありましたが、415講義室は卒業以来久しぶりに入り、懐かしい気持ちで研修会に参加させていただきました。
 まず、全体会では「地域の貢献という観点からの教育学部のと附属学校園との連携」というテーマで基調報告がありました。その中で、あらためて附属学校の使命や学部との連携の大切さを感じました。今まで自分は『遠慮』という壁を自分で作って、学部との連携をかえって阻害していたのではないか。研究上での分からないことは、もっと遠慮なくお聞きしようと思うようになりました。また、後の懇親会では研究面でのつながりばかりではなく、人とのしてのつながりも深めることができ有意義な時間を過ごすことができました。今回は第一回研究集会で、まずうったての会だとは思いますが、これから議論を重ね具体的にどんなことができるのかぜひ話し合いたいと思います。
 
 
学部・附属学校教官合同研究集会に参加して
                         附属坂出小学校 森田 浩文
 
 附属坂出学園は、幼稚園から中学校まで12年間の成長を個に即して考え、幼小中一貫教育を通して段差のないカリキュラム開発の研究に取り組んでいる。「各学校園が隣接しているからどの教官とも面識はあるよ。でも、その学校が取り組んでいる研究について互いに討論したのは初めてだったよ」、こんな声が聞こえてきた研究スタートの頃。「○○先生の考えを活かして、今度の部会までに□□についてみんなで探ってこよう」、こんな声が聞かれる現在。
 本研究集会も第1回のスタートをきったばかり。「隣は何をする人ぞ」という感が強かったもの同士が互いの教育観を語ったり個人的な悩みを打ち明けたりする中で、人間理解を深め研究の方向性も見えてくると思うのである。つまり、「何でもって」もっと知り合い、「どのように」していくかが明確になってこそ研究の深化・拡充が図れるのではないだろうか。
 
 
学部・附属学校園教官合同研究集会 報告
                                附属養護学校
 
 全体会において「地域への貢献という観点からの教育学部と附属学校園との連携」ということで妻鳥学部長・繪内先生・阪根先生・藤本センター長より基調報告がありました。本校では以前より大学との連携は密に行われており、その詳細については繪内先生よりご報告のありました内容そのもので連携が進められており、年々その親密度も増しているように思われます。特に障害児教育教室の先生方とは日々電話連絡をさせていただいたり、出向いていって日々の学校での指導について相談したり、また大学からも先生方をはじめ学生の方々が訪問し、参観したり卒論について調査したり本校での授業をビデオにとり大学での授業に生かしたり・・・・と毎日のように行き来があります。
 今後地域への貢献という点で今、地域から養護学校に求められている障害児教育の専門性があり、地域の公立学校や保育所、幼稚園等からよく子供の実態についての検査とかその指導方法とか、指導の中で苦慮している現実についての相談などがあり、「教育相談」として受けたり、公立学校へ出向いていくという形態もとっています。これから、ますますこれらの要請は高くなる様相を示していますが、それらに応えていけるよう、学部と附属の連携をさらに強固なものにして、理論的にも確かなものを身に付けながら地域へ貢献していきたいと思っています。そのための今後の課題として、教育相談時に教官が授業から抜けたときの代替の教官の保障とか校内において教官全体の共通意識と理解を進めていくことが必要であると考えます。
 合同研究集会ではこれらの現在の状況把握ともに、今後の課題も見通していこうとする場となったことは意義のある集会となったのではないでしょうか。また、大学会館で行われた学部・附属学園の教官が集まっての懇親会では、日頃会う機会の少ない先生方やゆったりと話し合う機会の少ない先生方と話し合うことができましたことは連携のひとつとして評価できると思いました。できるだけ、自主的参加型の集会になれますよう学園にも広げていきたいと思います。
 
 
学部・附属学園教官合同研究集会報告に思う
                             倉石 文雄(美術教育)
 
 学部の進むべき明確な方向性が見いだせない中、様々な思惑が、浮かんでは消える。私が本学に9年前赴任した当初、私の知る限り、学部の教官関係は比較的良好で、複雑で多岐にわたる大きな集団を形成しているように感じられた。しかし改革に絡んだ多くの衝突の中で、集団は分裂し、おのおのの小さな集団の中で、それぞれの思惑に沈み、よどんだ空気は、学部全体を包んでいる。最近は廊下ですれ違っても挨拶も笑顔もない教官が増えた。こんな小さな学部の中で、これだけ力が分散しては乗り越えられる坂も乗り越えることは不可能と言えるだろう。最近は、私自身も何をするにも疑心暗鬼に埋もれそうになってしまうのだが、11月22日(水)に行われた附属教官との合同研究集会は、大学教官にとっても、附属教官にとっても、いろいろな意味において、有意義な試みだったと言えるだろう。もとより附属学校との連携は重要であることは言うまでもないが、それらに関しては、理由はいかにせよ教官格差が大きかったことは間違いないところである。互いの顔を見知り、身近な問題を語り合う、このような試みは、大学の教官と附属の教官との人的な交流を深め、将来的には、あらゆる領域で共同研究などが日常的に行える関係を形成しうる可能性を含む。
 今回の集まりを今後の展開への第一歩として有効と考えていけば、附属教官、大学教官の研究・教育領域に新しい切り口を発生させ、現在教育の抱える諸問題に対しても、学部の将来を展望するにしても、それらに取り組むための活力を与える可能性を含むと考える。
 
 
初めての合同研究集会に参加して思ったこと
                            新見 治(社会科教育)
 
 多忙な日常の校務に追われている学部と附属学校園の教員が初めて一堂に会し、率直に意見交換できたのは画期的な出来事であった。しかし、大学外で他の大学・学校の先生方とお話する機会があるのに、大学内での交流が初めてであることに今さらながら驚いている。全体会の話題である学部−附属学校園−地域との連携のあり方や、分散会で指摘された学部教員の姿勢や意識への苦言についての感想は他の方に譲り、この集会に参加して自らを振り返り思ったことを少し書かせていただくことにしたい。
 私の附属学校園や公立学校とのお付き合いは、教科内容に関する授業科目を担当する性格から、@教育実習に際しての学生の教材研究に対する助言や授業参観、A附属学校園の研究授業の際の助言、B各種研究会における講演や助言といった程度である。自己採点すれば、@については授業や校務に追われ附属に足が向かず40点。ABについても、お声が掛かればという程度で積極性に欠け50点。全体としては不可であるが、新しい教育学部への展開を目指すなかでいくらか変化の兆しはある。
 新しいカリキュラムでは、医学教育でいうアーリーエクスポージャーにならって、入学後の早い時期に複数の学校を訪れ、教師を目指す学生として自らの課題を発見できるよう「学校教育入門」を開設した。附属学校園にはご迷惑をお掛けすることになったが、こうした附属学校園との新たな関わりは引率する学部教員にとっても附属学校園での教育の姿を改めて知るよい機会となった。学校教育において実践力が重視される今日、教育現場からは教科教育学や教育科学への期待や要請はあっても我々に対しては期待がないのでは、という不安を教科内容を担当する教員は持っている。私自身「環境教育論」という授業を開設し多くの教育実践に学ぶなかで、実践力を育むには教材研究の基礎となる教養や専門的知識技能も不可欠であることに気づかされたが、こうしたニーズを改めて知ることになった今回の合同研究集会であった。
 
 
参加した漠然とした理由
                            末廣喜代一(理科教育)
 
 研究集会ということで参加したが、あまり研究集会といった感じのしないものだった。午後4時半からの開始で、駆け足の全体集会と、あまり盛り上がりのない分散会は、お世辞にも有意義であったとはいえない。障害児教育教室での取り組みだけでも詳しく報告してもらったら良かったのにと思う。「まあ、最初の顔見せという所かな」ということで、大方の参加者が、自らを納得させているようであった。
 結果的には有意義であったとはいえないにせよ、これまで附属学校の研究授業などに熱心に参加したようなこともないのに、なぜ参加したのだろうか?自分が参加した漠然とした理由について考えてみると、決して「地域への貢献という観点からの教育学部と附属学校園との連携」という主題にひかれて参加したのではないようである。そのような人間が参加した理由として考えられるのはカリキュラムが変わったことによるものだろう。これまで担当しなかったような教科教育に深く関わるような「理科演習」とか「理科授業研究」といった授業を今年から担当することになった。授業そのものは学生が勉強してきたことを発表するのが中心で、教官はそれに対してコメントをするだけであるが、有効なコメントをするためには、こちらが教科内容だけでなく、教育に対する具体的なイメージを持っていなければならない。これまで20年以上も教育学部に勤めていて、教育に対する具体的なイメージを持っていないのかといわれればそれまでだが、大学生に対する教育のイメージはあっても、小学生や中学生に対するの教育のイメージは、はなはだ不足しているといわざるをえない。そのことから、漠然と附属学校との関わりが必要であると感じたようである。・・・・こうして、だんだんと学校教育中心主義に洗脳されていくのだろうか?
 
 
学部と附属学校園− その関係は?
                            竹中 龍範(英語教育)
 
 去る11月22日水曜日の夕刻、学部・附属学校園教官による合同研究集会がもたれた。これまでは、各教科において、あるいは個人レベルで、学部教官・附属学校園教官が共同研究をしたり、教育実習の指導に共に関わったりする形での連携はあったのであろうが、全学部・附属学校園をあげての研究集会というのは学部発足以来、初めてのことではなかろうか。少なくとも筆者が昭和55年に着任して以来、そのような集会は記憶にない。その意味では、遅すぎる新しい時代の幕開けということになる。
 ただ、残念ながら、先日の研究集会に参加した学部教官の出席率は、附属学校園教官のそれに比して、非常に低かった。教育学部のアイデンティティーが問われている今日、果してこれでよいのだろうかという印象は未だ拭いきれないでいる。 
 
 
親睦会のススメ
                            野ア 武司(保健体育)
 
 音美体で集まった中で話題となったのは、附属−学部間の関係を変えていきたいということでした。それは、附属の先生にとって学部の先生は敷居が高いといった心情的なものから、「文部省・学部・附属」といったシステム的な問題まで多肢にわたりました。新たな関係を培って行くには、互いにコミュニケーションしあえる関係づくりは不可欠でしょう。あの席で植村先生が「体育はこれまで年1回親睦会を開いてきました」とこれまでの連携を概括されました。私は肩の力が抜ける思いを味わいました。リキんだらダメだなあ、と。私が着任した当初の、附属の先生方を含めた体育の親睦会を思い出しました。昔気質の豪快な体育教師たちがワイワイ歓談する中を、一人小さく酒を注ぎに回ったものです。あの当時から、附属の先生方を親しく思ってました。それを今後の教員養成を考える方向にどう発展させるか、大きな課題はありますが、いい土壌にいたのだなあと再認した次第です。
 
 
一層の共同と協同を! −自然科学分散会報告−
                            長谷川順一(数学教育)
 
 自然科学分散会には、40名弱の教官が参加した。以下では、そこで出されたいくつかの意見を紹介したい。
 「大学教官は教育実習にもっと参加すべきである」―― 附属・学部双方の教官から指摘された事項である。学部教官からは「学部教官は実習生の活動を見、それをその後の学部での学生指導に活かすことが必要、そうすれば学生を媒介とした学部・附属教官の交流も可能になる」といった意見が、附属教官からは「学部教官の専門分野を明らかにし相談し易くしてほしい」との要望も出された。また、学部教官からは附属教官と共同で授業を実施しているとの報告もなされたが、「実習前の学生の大学での学習経験が様々である、学生の大学での学習事項を知りたい」といった附属教官からの指摘もあった。
 前後するが、学部教官からは科学体験フェスティバルの紹介があり、附属教官からは自然科学だけではなく数学でもそのような試みができないかとの提案もなされた。理数科離れの増加が問題となっているが、それを念頭においた共同研究も考えられてよい。
 本分散会の討議はやや低調であったと思う。これは偏に司会者(筆者)の運営の拙さの故であると反省している。今後、教育実習等の様々な機会を通して共同研究に関わる討議が継続して行われ、それが実現されていくことを願わずにはおれない。
 
 
編集者として《参加者の声》欄を読んで
                      住野 好久(教育実践総合センター)
 
 今回、合同研究集会の「参加者の声」として、各附属学校(幼稚園を除く)と学部教官数名に原稿を依頼した。各附属学校には、各校で1名執筆者を選んでいただいた。学部教官は、教科のバランスを考え、さらに何らかのご意見をお持ちであろうとこちらで勝手に予想した方にいきなり依頼文書を送付した。まったく失礼な依頼にもかかわらず、ほとんどの方が原稿をお寄せいただいたことに厚く御礼申し上げるとともに、今後とも学部と附属学校園との共同のために、ご支援・ご協力を賜りたい。
 さて、いただいた原稿からは、「今回の集会は、教官同士が交流し合うよいきっかけになったが、今後の<共同>の見通しを立てるには不充分であった」という声が聞こえる。「交流」だけでも許される第1回から、実質が問われる第2回に向けて、学部教官と附属学校園教官に求められることは何か。香川大学教育学部教官としてのアイデンティティーを探ることから考える必要があると考えている。 
 


 
《附属幼稚園研究発表会 報告》
                            平成12年11月2日(木)研究主題
心を練る・自分探しへのいとなみ
〜関係づくりとしての幼児の発達を考えるV
 
 警報が出るような悪天候の中ではありましたが、県内外からたくさんの参会者をお迎えして研究発表会を行うことができました。大学の先生方、県、市の教育委員会の関係の方々には大変お世話になりました。多くのご指導、ご助言をいただいたことを、心より感謝しております。
 さて今年度は、『自分探しへのいとなみ』の最終章、自分とのかかわりについて考えていきました。友だち・先生・小学生などの人、泥や砂・一輪車・積木・自然・文化などのものやこととかかわりながら自分自身を見つめ、自分の心を耕し育てていこうとする姿を、私たちは『心を練る』と名付けています。
 研究を進めていきながら、私たちは、子どもの自分との関係づくりを見ていくことの難しさを痛感しました。それは、人とのかかわりや、ものやこととのかかわりと違って表面に表れて私たちの目に見えるものではなくて、保育者の心を通して感じられるものだからです。子どもたちの内面の葛藤を見ていくには、保育者も自分自身(の保育)について、常に心を練っていることが大切なのです。そうしてはじめて、子どもたちの心の葛藤を感じることができるということに気がつきました。
 研究会当日は午前中の公開保育の後、午後からは全体提案とフリートーキングを行いました。午前中の保育の映像をもとに、
  @子どもの自分との関係づくりに働きかける
  A子どもの様々な関係づくりに働きかける(ことで自分との関係づくりを支える)
  B(直接個々に働きかけるのではなく)あそびやあそび集団に働きかける
以上の3点から自分探しを行っている子どもたちへのかかわりについて話し合いました。 今後は、これまでの関係論的な子どもの発達の研究を基礎にして、あそびや活動の結果として子どもたちが何を学んできたのかというカリキュラム(学びの履歴)について研究を進めていきたいと考えています。
 


 
<学部・附属坂出学園共同研究会の内容と成果>
 
                        附属坂出中学校   島根 廣之
 
 12月6日(水)、附属坂出中学校において、「学部・附属坂出学園共同研究会」が開かれました。この研究会は、大学の佐藤明宏先生の「研究集会を一緒にやりましょう」という呼びかけから実現したもので、本校の研究集会に大学の先生が参加するという形で行われました。当日は、大学からは教育実践総合センター長をはじめ10名の先生や院生の方々、さらに附属坂出小学校からも3名の先生が参加されました。
 内容は、本年度から附属坂出学園(幼、小、中、養)が取り組んでいる研究開発の中から、「小中連携カリキュラムのあり方」をテーマに、授業研究や討議が行われました。  研究開発の概要、総合部会、学習障害部会、英語部会の各取り組みの発表の後、英語部会の小中連携授業の中から小学校6年で実施した授業をビデオで紹介しました。
 この授業は、本校英語科の中野教官が小学校へ行き(スクール・シャトル)、6年生の担任の宮谷教官とT.Tを行った、「世界の国々」という内容の授業で、学習目標は、「英語を通して、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス」に関する情報を、楽しみながら理解する」というものでした。
 参加者からは、音声を重視し、オールイングリッシュで授業をする意義について、T.Tにおける学級担任の位置付けについて、総合的な学習との関係などについて次々に質問や意見が出され、討論が深まってゆきました。
 また、研究開発全体についても、教師の相互交流だけではなく、児童・生徒の交流を含めたスクール・シャトルの可能性について、3・6・3制のカリキュラムの再構成について、学習障害部会の取り組みへの期待など、多方面にわたる示唆に富んだ意見が出され、今後研究開発を進めていく上で、実りの多い研究会になりました。お忙しい中を参加していただいた先生方に感謝申し上げます。
 


 
(センター研究プロジェクトの活動紹介)
 
<異年齢の仲間集団づくりに関する研究プロジェクト>
 
 近年、子どもたちが戸外で遊ばなくなるにつれて、彼らの仲間集団の在り方も大きな変貌を遂げています。まず、仲間集団のサイズが極端に小さくなり、また集団が小規模化すると同時に、集団の構成も変わってきました。すなわち、地域における異年齢のタテ型集団が成立しにくくなり、子どもたちの仲間集団は、ヨコ型集団へと急速に等質化(同年齢化)してきました。今では、地域における異年齢の遊び仲間集団の自然形成が難しくなっており、学校教育のなかで、かなり意図的に異学年児童の交流をもたせるように工夫している取り組みも増えています。本研究プロジェクトは、異年齢の仲間が交流することの教育的な意義について原理的に考察するとともに、香川県下の小学校における異年齢の仲間づくりの実践、とりわけ特別活動のなかに位置づけられている「縦割り班」の活動について、三つの実態調査を行ないました。
 一つは、平成12年度に香川大学大学院教育学研究科に入学した小学校の現職教員6名と、附属高松小学校と附属坂出小学校の教員各1名に対して、この6月に行なった「聞き取り調査」です。8名の先生方に、平成11年度の在籍校での取り組みについて、かなり細かいことまで直接尋ねました。二つ目は、香川県下のすべての公立小学校を対象に今月実施した「アンケート調査」です。これによって全県下の小学校における「縦割り班」への取り組みの現況が、統計的な数字で明らかになると思います。そして最後に、高松市内のある小学校をモデルケースとして選び出し、その小学校に在籍する現職の大学院生の協力を得て、参与的観察を行ないました。これらの研究の成果につきましては、『教育実践総合研究』に掲載する予定です。(文責 毛利)
 


 
   【寄贈図書一覧(00/10〜12)】  
 
教育実践総合センターニュース 15        滋賀大学教育実践総合センター
学校教育実践センター              鳴門教育大学学校教育実践センター
心理・教育相談室ご利用の案内                〃         
教育実践研究紀要 第10巻          鹿児島大学教育実践研究指導センター
教育実践研究指導センターニュース 第10号          〃
教育実践研究指導センター紀要 第2号      長崎大学教育実践研究指導センター
WAGニュース 第7〜8号                    WAG研究所
 


 
  【センター活動日誌&報告(00/10〜12)】  
10月25日(水) 教育実践演習(事後指導)「社会的スキル訓練体験コース」

                          宮前教官が、学生40名余に、社会的スキルを指導しました。

10月28・29日(土・日)文部省認定公開講座「学校教育実践学特論3・4」

                          3回目は住野教官が、4回目は加藤直樹教官(岐阜大学)が担当
                      しました。

11月 8日(水) 教育実践演習(事後指導)「香川県の学校教育の現状を学ぶコース」

                          香川県教育センターの施設見学(田井久憲次長)と、講話(大西孝司
                      研修課長、原直史教育相談課長)をいただきました。

11月10日(金) 教育実践演習(事後指導)「視覚障害者・点訳ボランティア体験コース」

                         香川県視覚障害者福祉センターで、視覚障害者の歩行介助の実際、視覚障
                     害者の方のお話、点訳の実際を体験しました。

11月11日(土) 教育実践演習(事後指導)「朗読ボランティア体験コース」

                        高松市図書館で、朗読ボランティアサークルの方に協力いただいて、お話し会に
                    参加したり、紙芝居や朗読、手遊びの体験をしました。

11月11・12日(土・日)文部省認定公開講座「教育臨床心理学特論1・2」

                        25・26日と合わせて4回、藤本教官が担当しました。

11月13日(月)第4回学部附属学校園教官合同研究集会打合会

11月16日(木) 教育実践集中講座[5回]>

                        18・20・27・29日と阪根先生客員教授が担当しました。29日は教育実践演習
                   (事後指導)の一貫としても開催しました。参加した学生のレポートからは、
                    その内容の充実度がうかがわれます。今後より多くの学生の参加を期待し
                    ております。

11月19日(土) 教育実践演習(事後指導)「牟礼北小学校ふるさとまつりボランティア体験コース」
                        牟礼町の牟礼北小学校で開催された同校PTA等が主催する「ふるさと
                        まつり」にボランティアとして参加し、もちつき、石焼きイモ、落ち葉遊び
                        等の活動に取り組みました。後日、一緒に活動した牟礼北小1年生全員
                        から学生に感謝の手紙が届きました。学生から返事も出しました。

11月20日(月)第8回企画推進委員会

11月25日(土)フレンドシップ事業:五色台トレーニング・デイキャンプ

11月25・26日(土・日)文部省認定公開講座「教育臨床心理学特論3・4」

12月 4 日(月)第3回フレンドシップ実施委員会

12月9・10日 フレンドシップ事業:五色台「むかしの遊び広場」

               五色台少年自然の家の主催行事である「むかしの遊び広場」に、学生6名、
                       教官2名が参加しました。

12月11日(月)第9回企画推進委員会

12月18日(月)第5回学部附属学校園教官合同研究集会打合会

                                   香川大学教育実践総合研究第3回編集会議
 


 
  【センターからのお知らせとお願い】  
 

第5回センター研究会
 


 
 7月以来のセンター研究会を開催します。今春からセンター企画推進委員になられた安東教官が発表されます。どうぞご参加下さい。
 ・日 時:平成13年1月26日(金) 16:30〜18:00
 ・場 所:教授法演習室
 ・内 容:「教育研究の研究」(仮題)
 ・発表者:安東恭一郎助教授(美術教育)
 

附属坂出小学校共同授業研究会
 


 
 この時期、附属坂出小学校での現教に参加するのは恒例となりました。今年度も、授業を参観・検討の後、来年度の研究大会に向けての研究討論を行います。各教科・領域の学部教官の参加をお願いいたします。詳細は、後日お知らせします。
 ・日 時:平成13年2月2日(金) 14:00〜18:00
 ・場 所:附属坂出小学校
 ・内 容:授業研究、および研究討論
 

附属高松小学校・幼稚園高松園舎 初等教育研究発表会
 


 
 ・日 時:平成13年2月8日(木)・9日(金)
 ・主 題:(幼稚園)幼児期にふさわしい生活の中で
            −身体ぐるみのかしこさを育てる−
      (小学校)変化の時代を生きぬく豊かな自己を創造する教育
−共生と自己確立を目指す1活動2学習の教育課程−
 詳細は、高松小学校のHPをご覧下さいhttp://www.ed.kagawa-u.ac.jp/~takasyo/annnai2.htm
 

教育実践総合センター公開講演会について
 


 
 来年2月27日(火)に、教育実践総合センター主催の公開講演会を予定しております。講師は、臨床心理学分野の権威でいらっしゃる上里一郎先生(東亜大学教授、前早稲田大学教授)です。いじめ・不登校など心理臨床分野のお話をしていただく予定です。
 詳細は、後日案内を配布いたします。お楽しみに。