No. 6                              平成12年10月31日発行


   目 次


特 集
 
学部・附属学校園教官合同研究集会に寄せて
 
                    教育学部長  妻 鳥  敏 彦
 
 新たな時代に向けて教員養成の改善策が求められ、教員養成カリキュラムの構造改革や教育職員免許法の改正などが行われております。特に、新しい教員養成カリキュラムのネライは使命感、得意分野、個性を持ち、現場の課題に適切に対応できる、力量ある教員の養成であり、そのために構造的には選択履修方式の導入による大幅な弾力化を措置しており、教職に関する科目の格段の充実を図っていることが特色であります。学部においても、平成10年度に改組を行い、新しい学校教育の担い手や生涯学習社会で活躍できる人材養成に留意しつつ新しいカリキュラムを導入し、移行措置を含め円滑な実施に努めております。同様に大学院教育についても現職教員の研修の場として、多様なニーズに応えうる体制整備と学部教育との接続を念頭に改革・改善策について検討しているところであります。
 このように多くの教育系大学・学部における養成・研修段階の大幅な改善策が推進されている一方で、現下の学校教育をめぐる深刻な状況を踏まえ「教師の力量がかってないほどに求められる時代に、教員養成の機能が十分に果たされているのか」との厳しい指摘がなされております。とりわけ実践的指導力の基礎を培う教育の強化が求められており、具体的には児童・生徒の実態に応じた教育内容・方法に関する実践力の開発が課題であります。このような課題解決についてこそ、附属学校との共同研究が必須であり、大学・附属学校における相互の自覚、意識を共有化することが急務であります。
 養成段階の実践力の基礎形成も重要でありますが、目指すべきは、新しい時代に求められる学校教育の実現を図るための教育実践科学の確立であります。そのためにこそ、共同研究体制を強固にし実践的分野での高いレベルの研究を指向すべきであります。
 このたびの附属教育実践総合センター企画による「学部・附属学校園教官合同研究集会」がその端緒となりますことを期待しておりますが、同時に学部教官・附属教官の人間的交流の場となることも心強い限りであります。最近増加傾向にあるといわれる教員のストレスによる「燃え尽き症候群」(バーンアウト・シンドローム)を防止する一助として教員間の連携も必要と思われるからであります。
 学部・附属教官の多数の参加を願っております。
 


<研究集会プログラム>
 
 今、国立大学、特に教員養成系学部は、地域に根ざし、地域に貢献することが求められています。本学部が地域の教育界に貢献しようとするとき、附属学校園との共同を抜きに考えることはできません。このことは、これまで繰り返し求められてきた「学部と附属との共同」を、学内に閉じたものにするのではなく、地域に開かれたものにするということです。本学部の「生き残り」は、附属学校園との共同を通じて、地域教育界に貢献することができるかどうかにかかっているとも言えましょう。
 そこで、この研究集会では、
 @今日、学部と附属学校園が置かれている状況を明らかにした上で、
 A教員・教育者の養成、教員の研修・再教育の機能を有する機関としての本学部と附属学校園との共同による教育研究の試みと今後の課題について検討します。
 なお、集会後に「懇親会」を行います。教官同士の交流を深めるために、是非ともご参加下さい。
 
   日 時 : 平成12年11月22日(水)16:30〜18:15
   会 場 : 教育学部415講義室(全体会会場)
   主 題 : 教育学部と附属学校園との連携
         ・地域への貢献という観点からの教育学部と附属学校園との連携
   日 程 : 16:30−    開会あいさつ
  16:35−17:00 基調報告(1)「学部と附属学校園の現状と展望」

  17:00−17:10 基調報告(2)「学部と附属学校園との連携」

  17:15−18:15 分散会     1.人文・社会科学系(国・社・英)      413講義室

    2.自然科学系(数・理・技術・家庭)     414講義室

    3.芸術・健康スポーツ系(音・美・体・養護) 311講義室

    4.教育科学系(幼児・障害児・生徒指導・教育相談)   312講義室

  18:30−20:00 懇親会

        会場:大学会館1階

      会費:2000円(当日、受付で集金します。)


《第57回国立大学教育実践研究関連センター協議会》
 
 10月6日(金)に、鳴門教育大学学校教育実践センターで開催されたセンター協議会に、本センターより、松下と宮前が出席しました。
 会の冒頭、先日急逝された井上光洋会長の追悼式が行われ、追悼の辞とともに黙祷が捧げられました。次いで、センター協議会副会長の開会のあいさつ、鳴門教育大学学校教育実践センター長の会場校あいさつ、事務局より前回議事要旨等の報告がありました。
 それから、各センターの研究・教育・事業の実績に関する討論が行われました。最初に、討論のもとになった調査の主旨がセンター協議会副会長より説明されました。それは、総合センター化にともなう定員増に際して、センターが具体的にどういった実績をあげているのかが、厳しく問われているということでした。
 討論では、教育臨床分野に始まり、教育実践分野、情報教育分野と3部門について報告が続きました。発足して1年を経た本センター教育臨床研究部門を、さらに充実したものにするためにはどのようなことができるのか、様々に考えながら報告をうかがっておりました。(宮前記)


《第14回日本教育大学協会全国教育実習研究部門総会・研究協議会》
 10月13日(金)に、大阪教育大学で開催された標記協議会に、住野が出席しました。研究集会では、以下のような発表がなされました。

   (1) 教育実習生の意識の変容と附属・学部の対応−実習生アンケートの分析からー

                              中西一彦(大阪教育大学附属天王寺中学校)

   (2) 本校が行ってきた事前指導−高校教員と実習生の声を伝えます−

                              松本文子(愛知教育大学附属高校)

   (3) 教員養成課程における養護学校での「介護等体験」の意義と位置づけ

                              住野好久(香川大学)

   (4) 学校教育課程における段階的教育実習について

                              生馬寛信(佐賀大学)

   (5) 実地教育カリキュラムの深化と拡充を目指して−人権教育実習の現状と課題−

                              清水 茂(鳴門教育大学)

   (6) 地域の国際化と教員養成−日本語を母語としない児童生徒への対応−

                              所澤 潤(群馬大学)

   (7) 主免教育実習の効果的改善に関する研究−事前・事中・事後調査からの改革構想−

                              長澤憲保・別惣淳二(兵庫教育大学)

   (8) 学生からみた附属校実習と公立校実習の違いについて

                              小林宏巳・坂井 裕(東京学芸大学)

   (9) 大阪教育大学における教育実習の現状と課題

                              秋葉英則(大阪教育大学)

 私は、『香川大学教育実践総合研究』創刊号に掲載された末澤・寄田・住野「教員養成課程における養護学校での「介護等体験」の意義と位置づけ」をもとに、本学部での「介護等体験」の内、2日間附属養護学校で実施されるものは、単に「体験」することだけではなく、4年間一貫の教育実習カリキュラムに位置づくものとして、教育実践力養成に貢献するよう実施されていることを報告してきました。詳細は、次のHPをご覧下さい。
 URL http://educenter.ed.kagawa-u.ac.jp/sumino/kyodai00.htm


  【センターからのお知らせとお願い】  
 
 この「教育実践集中講座」は、教職をめざす学部学生や大学院生に、生徒指導実践の事実に基づいて「教育とは」「教師とは」を改めて考えられるようなテーマを設定しています。内容はテーマごとに完結しています。テーマによって選択して受講可能ですが全日程を受講すれば、現在の学校現場における生徒指導の問題の全容が見えてくるような構成になっています。
 学生への参加の呼びかけをお願いいたします。
講義名:"新しい荒れ" に対応するための生徒指導の在り方

 

講 師:阪根健二先生(香川大学客員教授:香川県教育委員会義務教育課主任指導主事)
日 程:















 
 日  時 講義室         内     容
11月16日(木)
 15:00〜17:00


 
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新しい荒れとは−学校現場における問題行動−
昨今の新聞紙上を騒がせている少年非行は予測の範囲を超えた行動が多い。そのため、学校では、これを”新しい荒れ”と呼んでいる。その実情はどうか。
11月18日(土)
 10:00〜12:00

 
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新しい荒れに対応する教師の在り方
苦慮している学校現場の実態から、その対処方法を、いろ
いろなケースで考察する。
11月20日(月)
 10:00〜12:00

 
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児童生徒の心理を探るT−教室内の行動から−
実際に起こる問題行動のケースを想定して、その対応を演
習する。
11月27日(月)
 10:00〜12:00
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児童生徒の心理を探るU−教室内の行動から−
 同上
11月29日(水)
 13:00〜17:00

 
教 授 法演 習 室
 
現代の青少年問題を考える
学校現場(教育実習等)での悩みを聞きながら、その対応
を考察していく。これからの教師の在り方を考える。















 
受講方法: 教育実践総合センターにある受講届に受講日を記入の上、受講を希望する講義の前日までに提出


『教育実践総合研究』のお知らせ
 
 『香川大学教育実践総合研究』第二号は、11月30日(木)原稿受付締め切りです。奮ってご投稿されるのをお待ちしております。
 なお、投稿予定者は、あらかじめセンター事務室までお申し込み下さい。


  【寄贈図書一覧(00/3〜7)】  
   教育実践研究指導センターだより 第9号、研究年報 第9号   鳥取大学教育実践研究指導センター

   教育実践研究 第8号、授業とメディア 増補版      福岡教育大学教育実践研究指導センター

   教育実践後援会「子どもが育つ、私が育つ」 、PRACTICEセンターニュース 13   〃   

   教育実践シンポジウム「同和教育副読本の活用の仕方について」        〃

   ファカルティ・ディベロップメント研究報告書 教員養成大学としての教育のあり方     〃

   教育実践研究紀要 第22号、センターニュース 第36号  秋田大学教育実践研究指導センター

   実践センターニュース 第25号              奈良教育大学教育実践総合センター

   教育実践研究紀要 第38号、しのぶそう 9       福島大学教育実践総合センター

   年報 1999年度版                   東京学芸大学海外子女教育センター

   所報126.127、所報126号別冊、教師のための生涯学習シリーズ第5集 愛媛県総合教育センター

   カリキュラム研究 第9号                日本カリキュラム学会

   教育実践総合センター紀要 第23号、センターニュース 1  宇都宮大学教育実践総合センター

   WAGニュース 第5〜7号                WAG研究所

   教職課程研究センター年報 第14号            関西大学教職課程研究センター

   教育実践研究指導センター紀要 10           和歌山大学教育実践研究指導センター

   教育実践研究指導センター紀要 第7号          琉球大学教育実践研究指導センター

   実技教育研究 第14号                  兵庫教育大学実技教育研究指導センター

   IMETS 137.138                (財)才能開発教育研究財団

   生徒指導研究 第11号                  兵庫教育大学生徒指導講座

   教育実践総合センター紀要 18             愛媛大学教育実践総合センター

   大学にとっての教育実習                 愛媛大学教育学部カリキュラム改革研究プロジェクト

   教育実践研究 第11号                  島根大学教育実践研究指導センター

   教育実践センターだより 第8号             高知大学教育実践研究指導センター

   メディア教育研究 05-2000              メディア教育開発センター

   附属教育実践総合センター、センターニュースCERT bP、教育実践研究 bP 信州大学教育実践総合センター


  【センター活動日誌&報告(00/7〜10)】  
   7 月21日(金)   第4回センター研究会

   7 月24日 (月)   第1回学部附属学校園教官合同研究会打合会

               第4回企画推進委員会

   9 月 7 日(木)   第2回管理委員会

   9 月13日(水)     第1回フレンドシップ実施委員会

   9 月25日〜28日  CAI教材設計論 岐阜大学 村瀬康一郎先生

   9 月25日(月)     第5回企画推進委員会

   10月 6 日(金)   センター協議会

   10月11日(水)   第2回フレンドシップ実施委員会

                  第2回学部附属学校園教官合同研究集会打合会

                             第6回企画推進委員会
 
       10月13日(金)  教大協全国教育実習研究部門総会・研究協議会

       10月14日(土)  文部省認定公開講座(4回)

       10月25日(水)  第3回学部附属学校園教官合同研究集会打合会

宮前研究室(教育相談室)の移動・教育相談室の新設について
 
 教授法演習室2階にある宮前研究室(教育相談室)が、8号館6階旧・高井研究室に移動することになりました。電話番号の変更はありません。
 なお、1月(予定)には研究室はもとの場所に戻り、教育相談室はセンター1階(現在暗室及びビデオ教材室)に新設される予定です。