No. 2             平成11年10月12日発行


      目 次


平成11年度の事業計画について

センター長 藤本 光孝

はじめに

 平成11年度の附属教育実践総合センター(以下、「センター」と略記)の事業計画を建てるにあたって、センターの使命を改めて考えておかねばならないと思われます。センターの使命は、教育学部と附属学校園とが一体になって地域の学校教育に関わる実践的な諸問題を総合的に研究し、その成果を教員養成や地域の学校教育の実践に役立てていくことにあります。このような使命の実現は、本学部が位置している香川県下の教育関係機関との連携を条件にすることによってはじめて成り立つと考えられます。

 このようなセンターの使命は、(1)いじめや不登校などの教育臨床的な諸問題の解決への支援のための教育相談活動と心の教育に資する実践的な教育研究の推進、(2)地域や学校をはじめとする教育関係機関と連携し、そのニーズに応えるための教育学部の窓口機能の充実、(3)マルチメディア教育、遠隔教育などの教育の情報化に対応した教育研究の推進、(4)教科統合、教育課程の再編成などの新たな教育課程に応える教育研究の推進、(5)新しい時代に対応した総合的・実践的指導力のある教員養成の充実・促進という5つの視点から目的化されます。センターが推進していかねばならない事業は、このようなセンターとしての目的の実現に向けたものでなければならないことは言うまでもありません。


平成11年度センター事業の特徴

  平成11年度は、センターとして新たに出発した初年度であることから、センターの事業を企画推進し、その運営に当たってくださる教授会から選出された学部教官とセンター専任教官(10月からは、センター専任教官として宮前義和講師が加わりました。)からなる企画推進委員会を組織し、本年度の事業について検討してきました。そこでは、センターの専任教官の専門分野を基盤とした教育実践に関する研究部門として、「カリキュラム開発」、「教師教育」、「マルチメディア教育」、「教育相談」、「生徒指導」の5つの部門を設けられていることを踏まえ、それぞれの部門での活動を推進することとしました。これらの研究部門の内、「カリキュラム開発」、「教師教育」、「マルチメディア教育」の3つの部門については、「教育実践研究部門」として従来の活動を引き継ぎ、それぞれ発展させるとともに、21世紀の学校教育に求められる課題に対応していくための活動に取り組むことになりました。本年度から新たに加えられた部門である「教育相談」、「生徒指導」の2つの部門については、「教育臨床研究部門」とし、その部門を構成する臨床心理学が専門領域である宮前義和講師の着任を待って、「教育相談」を中心とした相談活動と教育研究活動を具体化することとなりました。これらの部門の活動は、地域と連携しつつ展開されることは言うまでもありませんが、本年度からは、香川県教育委員会から客員教員をお迎えし、地域と連携した実践的な活動の推進を一層強固なものとしていくことになりました。

 これらの部門の活動と関連させながら本年度のセンター事業として、(1)学部教官と附属学校園教官とが共同して取り組む教育実践や教員養成に関する研究をすることを目的とした研究プロジェクトや指導プロジェクトを推進すること、(2)センターが学部及び附属学校園教官の共同利用施設としての役割もあることから、施設、機器、資料等を整備し、利用しやすいように整備すること、(3)現在の学校教育の課題や教員養成に関して学内外の関係者の関心やニーズに応える研究会等を開催すること、(4)教育実践に関する教育研究活動の成果を刊行すること、(5)本年度がセンターとして開所された初年度であるため、センターの役割についてのご理解を得るため、そしてセンターの諸活動へのご協力とご利用を得るため、センターに関する広報活動を推進することの5つを掲げることになりました。

 センターの施設は、教育学部構内だけでなく、附属坂出中学校に隣接したところにセンター坂出分室が設置されています。地域の関係者に利用していただきやすい施設になるよう努めていこうと考えております。また、センターのご利用は、センターへの来訪という場合だけでなく、研究部門の活動によってはセンターの事業の関係者が出向くという場合も考えられます。センターが地域・学校をはじめとする教育関係機関の窓口としても機能していくことで、より一層の地域とのつながりができあがるようにつとめてまいります。本年度のセンター事業についてのご理解とご協力をよろしくお願いします。

 

平成11年度 教育実践総合センター事業計画

 

T 研究プロジェクト(詳細は本紙5ページ参照)

 

 1−1 総合的な学習のカリキュラム開発研究プロジェクト

 1−2 マルチメディアの総合的学習への利用に関する研究プロジェクト

 2 教育実習カリキュラムの改善に関する研究プロジェクト

 3 異年齢の仲間づくりに関する研究開発プロジェクト

 4 学習困難児への教育支援研究プロジェクト

 5 子ども文化研究プロジェクト

 

U 指導プロジェクト

 

 1 「学校教育入門」「初等教育実践演習」を担当する。

 2 情報処理入門コースのための授業開講

   ・教育工学 ・情報処理入門 ・マルチメディア応用論 ・情報処理演習

   ・CAI教材設計論 (非常勤) 岐阜大学 村瀬康一郎先生

 3 研究会、講習会、研究相談等

   ・SCS利用研究及び特別講義への参加(随時)「SCS教育工学特論T」

    「SCS教育工学特論U」

   ・現職教員に対するプログラミング及びマルチメディア・リテラシー教育

   ・マルチメディア研究会(旧、教育工学研究会)の開催(随時)

 4 フレンドシップ事業を推進する。

 

V 教材・資料の収集・管理・共同利用

 

 1 研究資料、教材等の収集・管理

 2 データベースの構築(文献・教材)

 3 教材、資料、機械等の共同利用

 4 インターネットのサイト(ホームページ)の更新・管理等

 

W 研究報告等

 

 1 「香川大学教育実践研究」の編集。投稿要領等を改正する。

 2 研究プロジェクト報告書の発行

 3 研究会の開催、年3回程度

 4 講演会の開催

 5 センターニュース、年4回発行

 6 センター紹介リーフレットの発行

 


これが、センター坂出分室だ!

 教育実践総合センターへの組織換えにともなって、センター分室の整備・拡充が成されました。

 玄関入口には、新しく「香川大学教育学部附属教育実践総合センター坂出分室」の看板が掲げられました。なお、題字は小西憲一先生の筆によるものです。

《施設・設備》

 建物は、教育工学センター分室を引き継いだものであるため、長年の使用で校舎内・外にも老朽化が目立つようになっておりました。傷みのひどい部分については、隣接の附属小・中学校の技官、事務官を中心として、附属坂出学園の方々の全面的なご協力を得て、約2カ月間をかけて見事にリニューアルされました。壁面の塗装や廊下のタイルの張り替えによって見違えるほど明るくなり、また、故障気味だった空調設備も取り替えられて、教育・研究・研修等に最適な環境となりました。

《通信環境》

 通信環境としては、学部センターとセンター分室間はこれまで電話とファクシミリによる通信しかできませんでしたが、今回、ISDN回線によるダイヤルアップIP接続でのインターネット利用の他、テレビ会議装置を用いた双方向通信の整備が行われました。

《教育・研究・研修等》

 教育実習生指導は従来通りに、センター分室の講話室を使って実施されていますが、研究会・研修会等については、これまで学部センターで開催されていたセンター研究会や教育工学研修会を、西讃地区からの参加者の利便性にも配慮してテレビ会議装置を利用することや、一部をセンター分室での開催とすることなどを計画しています。また、次年度からは文部省免許法認定遠隔公開講座の会場として、高速道路のICに近接という地の利を活かして、他県からの受講者の便を図りたいと思っています。さらに、教育相談では、教育臨床を専門とする教官による支援が行える体制の整備を検討しています。

 このようにセンター分室を西讃地区の教育・研究・研修等の拠点として、学校教育における諸問題についての実践的な研究を強化しながらその成果を社会に還元しつつ、センター坂出分室の存在が従来にも増して地域の教育関係者の物質的、精神的な支えとなるよう努力していこうと思っています。(松下)



研究プロジェクトにご参加を!

 既にお知らせしましたように、本年度の研究プロジェクトが5部門設定されました。本プロジェクトは、教育実践総合センターの研究プロジェクトであると同時に、本学部が附属学校園、県内の公立学校との共同研究を進めていくためのプロジェクトでもあります。一人でも多くの先生方がご参加下さり、学部と附属学校園、県内の公立学校との共同研究を発展させられるよう祈念しております。

 参加して下さる方は、以下の参加申込書を、至急教育実践総合センターまでお届け下さいますようよろしくお願いします。

 

<研究プロジェクト>

 

 1−1 総合的学習のカリキュラム開発研究プロジェクト

    −香川県の「総合」のカリキュラム開発を、カリキュラム・プランの提示、カリキュラムの共同作成・評価、授業の共同実践等、多面的に支援する。

 

 1−2 マルチメディアの総合的学習への利用に関する研究プロジェクト

    −これまで研究推進してきた教科や教科統合の学習支援にあわせて、「総合的な学習」「情報教育」等の学習を支援するコンテンツや学習ツールの開発に向けて基礎研究を推進する。

 

 2 教育実習カリキュラムの改善に関する研究プロジェクト

    −今回の教育実習の変更にともなう諸問題、効果的な教育実習指導のあり方、事前・事後指導のあり方等について、学部と附属学校園とが共同して研究する。

 

 3 異年齢の仲間づくりに関する研究開発プロジェクト

    −異年齢の仲間が交流することの教育的意義を原理的に明らかにするとともに、県下の附属学校および公立学校における異年齢の仲間集団づくりの実践、とりわけ、特別活動における「縦割り班」の活動について実態調査研究を行う。

 

 4 学習困難児への教育支援研究プロジェクト

    −学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)をもつ子どもたちに対する治療教育チームを編成し、彼らへの教育指導を支援するとともに、ソフト、ハード両側面における学習困難児への指導法を開発する。

 

 5 子ども文化研究プロジェクト

    −子どもの社会生活・家庭生活・サブカルチャーを調べ、そこから今の子どもたちの人生観・世界観をとらえていく。そして、これまでの学校教育の成果と限界を明らかにし、子ども文化を中心に見据えたこれからの教育の方向性を探る。

 

------------------------------------  キ リ ト リ  ---------------------------------------------

 

 研究プロジェクト番号(ご参加希望の研究プロジェクトの番号に○印をお付け下さい)

 

1−1   1−2   2   3   4   5

 

 

 氏名(所属):            (         )

 





  お知らせとお願い  

第1回センター研究会

 教育実践総合センター最初のセンター研究会です。ご参加をお待ちしております。

 ・日時 10月13日(水)16:30〜18:30

 ・場所 教授法演習室

 ・内容 文部省委嘱研究「教職課程における教育内容・方法の開発研究」の合評

     ・「体系的な教員養成カリキュラムのあり方」(新見・有馬・安東)

     ・「教育総合セミナー」(末広・森)

     ・「教育相談の理論と方法」(藤本・宮前)

カラーコピーについて
 センター1階に共同利用設備としてカラーコピー機(キヤノンクリエイティブプロセッサー660)があります。本機は、通常のカラーコピー機としての利用だけでなく、縦横変倍での拡大・縮小、何枚かの用紙に分割してA3サイズより大きく拡大といったコピー機能や、パソコンからの出力もできます。なお、ご利用には、カラー40円/枚、モノクロ10円/枚、OHP150円/枚の使用料が必要です(各教室の経費から落とします)。詳細は、センター事務室まで。

 センター1階に共同利用設備としてカラーコピー機(キヤノンクリエイティブプロセッサー660)があります。本機は、通常のカラーコピー機としての利用だけでなく、縦横変倍での拡大・縮小、何枚かの用紙に分割してA3サイズより大きく拡大といったコピー機能や、パソコンからの出力もできます。なお、ご利用には、カラー40円/枚、モノクロ10円/枚、OHP150円/枚の使用料が必要です(各教室の経費から落とします)。詳細は、センター事務室まで。

附属学校園の公開研究会について
<附属幼稚園研究発表会>

 ・日 時 平成11年11月2日(火) 9:00〜16:20

 ・テーマ 「心を練る・自分探しへのいとなみ−関係づくりとしての幼児の発達を考える

 ・詳細は、同園のホームページ(http://www.ed.kagawa-u.ac.jp/~fuzokuen/)を。

<附属養護学校研究発表会>

 ・日 時 平成12年2月4日(金)

 ・研究主題 「確かな社会参加につなげるためには」

 ・詳細は、同校のホームページ(http://www.ed.kagawa-u.ac.jp/~fuyou/home.html)を。

<附属高松小学校・附属幼稚園高松園舎研究発表会>

 ・日 時 平成12年2月9日(水)、10日(木)

 ・研究主題(小学校)「変化の時代を生きぬく豊かな自己を創造する教育」

      (幼稚園)「幼児期にふさわしい生活の中で−身体ぐるみのかしこさを育てる

<附属高松中学校学習指導方法改善公開授業研究会>

 ・日 時 平成11年11月9日(火)・12日(金)・19日(金)10:30〜12:30

 ・内 容 「21世紀に求められる資質・能力の育成」を目指す新教科「共生科(対話表      現・探求・制御企画)」の授業公開。

 

$ 《 「初等教育実践演習」実施計画 》

 

 センターが企画する教育実習事前・事後指導「初等教育実践演習」の中間指導(小学校・幼稚園・養護学校教員養成課程の3年生対象)が、以下の日程で実施されます。本演習に参加・ご協力して下さる学部・附属学校園教官の皆さま、ご指導よろしくお願いします。

 本演習は、学部教官と附属教官とがティームを組んで、1)3年次教育実習の反省的考察と4年次教育実習への課題の明確化、2)4年次教育実習に向けての実践的指導力の形成を行います。小学校課程のクラスでは、みんなの英知を集めて指導案や教材・教具を作成し、実際に附属学校で授業実践をします。

 皆さまのご理解・ご協力をお願い申し上げます。(住野)


名 称

事後指導

中間@

中間A

中間B

中間C

中間D

中間E

高 小
 

10/9(土)
10:00〜

小16:00
 

10/13(水)
2:40-5:00

10/27(水)
2:40-5:00

11/10(水)
2:40-5:00

11/24(水)
2:40-5:00

12/1(水)
2:00-5:00

12/11(土)
9:30〜

小16:00
 

坂 小
 

10/20(水)
2:40-5:00

10/27(水)
2:40-5:00

11/10(水)
2:40-5:00

11/24(水)
2:40-5:00

12/1(水)
2:00-5:00

幼稚園
 

幼16:40
 

10/20(水)
1:30-5:10


 

11/10(水)
2:00-5:40

11/24(水)2:00-5:40

12/1(水)
2:00-5:40

幼12:00
 

養 護

 

養17:00

 

10/27(水)
2:40-5:30
 



 

11/10(水)
2:40-5:30
 



 

11/24(水)
2:40-5:30
 

養17:30

 














 

 


フレンドシップ事業「教育実践基礎演習」実施計画

 

 今年度もセンターを中心に、野外教育活動など学校外で子どもたちとふれあい、子ども理解を深めることを目的とした「教員養成学部フレンドシップ事業」(本学部での授業科目名「教育実践基礎演習」 教員養成課程2年生対象)は実施されることとなりました。

 今年度は、香川県立五色台少年自然の家(作花典男所長)に加え、香川県立屋島少年自然の家(西川敏夫所長)にもご協力いただき、両機関の主催するイベントに参加させていただくこととなりました。先生方も、いっしょにやってみませんか?!(藤本)

 

  10月13日(水)13:00〜14:30  オリエンテーション

  10月27日(水)13:00〜16:30  事前研修

  11月13日(土) 9:00〜16:30  事前活動(五色台)

  12月11日(土)〜12日(日) 野外教育体験活動(五色台)

   1月29日(土) 9:00〜16:30  事前活動(屋島)

   2月12日(土)〜13日(日) 野外教育体験活動(屋島)

   2月18日(金)10:30〜12:00  事後研修

   2月末〜3月初旬        野外教育体験シンポジウム


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