No. 15                         平成15年3月21日発行    


◆特集 学部附属学校園教官合同研究集会
◆公開講演会実施報告
◆教育実践集中講座実施報告
◆附属高松小学校教育研究発表大会報告
◆坂小・学部共同研究実施報告
◆センター協議会報告
◆センター講座実施報告
◆教育実践・臨床フォーラム実施報
◆寄贈図書・活動報告
◆お知らせとお願い
特 集 学部・附属学校園教官合同研究集会の役割
 
                          センター長  湯 浅 恭 正
 
 学部と附属学校園には、相互の連携を図る時代を越えて、一体となって本学部の目的である「教育の総合的な探究」や教員養成の研究と実践に取り組む関係がますます期待されている。教育実習やフレンドシップ等の実地教育など、これまでの取り組みもそうであるが、より一体化した体制を構築することが要請されている。例えば、計画が検討されている現職教員の研修を成果のあるものにするには、どう学部附属が一体となってその内容を構想するかが問われる。既成の枠組みに囚われずに現代の学校を改革し、教育実践を構想する創造的な力量形成が研修の核にならなければならないからである。また、附属学校園が推進してきた学校教育の研究開発に対しても、どのような課題を設定し、それをどのような体制で推進するのかも問われている。文部科学省の「今」は10年後である。現代社会を分析し、何を教育課程政策として構想するか、地域の教育研究に責任を持つ地域の学部附属として10年後の世界を見通し、「今」何を課題にすべきかを鮮明にする努力がこれまで以上に求められている。
 こうした創造的な探究をいっそう推進するためには学部はどう関わるのか。そこにこそ学問的蓄積に裏打ちされた「教員研修」「学校改革」の構想を提起する責任があるのではないか。また附属学校園の役割はどう変わるのかもより問われよう。そして学部附属の共同の研究体制をどう構築するかなど、検討すべ
き課題は山積している。
 年一回の合同研究集会は、現代の教育動向・大学改革の動向を探り、情報を交換しながら交流の促進をも目的にして開催してきた。交流はそれとして大切にしつつ、共同の研究をどう日常化するかを探りながら、学部附属合同企画としての研究集会のあり方を検討したいものである。本センターもそこに積極的に関与していきたい。



連携・推進事業に関する報告(幹事会)
                       教育実践総合センター 七條 正典

 香川大学教育学部と県教育委員会・県教育センターとの連携協力に関して、幹事会において協議されている主な事項について簡単な報告を行った。(1)教員養成に関するものとしては、公立学校での教育実習、大学教員の公立学校現場での研修制度など、(2)教員研修に関するものとしては、大学院での現職教員の研修(内地留学等)や指導力不足等教員の研修など、(3)調査・研究に関するものとしては、学習状況調査や学習指導方法の改善、教材開発、共同研究プロジェクトなど、(4)事業に関することとしては、高大連携や学生ボランティア派遣事業、情報ネットワークによる連携・情報交換、附属坂出学園における「通級指導教室(情緒障害)」の設立など、数多くの連携推進のための事業が継続あるいは新規に行われることとなっている。これらの連携事業の充実が図られることによって、地域における本学部の存在意識が一層高まることにつながるものと考えられる。


学部・附属学校園教官合同研究集会に参加して
                          附属高松小学校 植松 勝

 平成14年12月11日、第3回学部・附属学校園教官合同研究集会が開催された。
 今回の研究集会は、国立大学の法人化が間近に迫り、附属学校園と学部の連携が強く求められる中での開催であっただけに、参加者の真剣な姿が多く見られた。特に、附属側からは、「地域への貢献」についての取組状況を大学教官に理解いただきたいとの思いで発表したところである。
 ここ1、2年の学部の動きを見ると、県教育委員会と連携・協力に関する協議を積極的に推進し、新たに様々な事業に取り組まれている。このことは、いずれ再編統合の問題が浮かび上がるであろうと思われるだけに、存続に向け頼もしい限りである。地域への貢献を共通項にして、学部と附属が日常的に結ばれる日が早く来て欲しいと願うものである。


学部と附属校園一体化に向けて
附属坂出小学校 西浦 雅弘

 学部・附属学校園教官合同研究集会では、「県教委・教育センタ−と附属との連携の現状と今後の課題」ということで、報告の機会をいただいた。附属坂出小学校の連携の現状としては、以下のようなものが行われている。
 ○「学習状況調査」問題作成の協力(平成13年度)
 ○教職5年経験者研修会での本校教官の指導,本校学級での授業実践
 ○教育センタ−「学習指導研修講座」での授業公開
 ○教育センタ−「研修講座」への講師派遣
 これらの取り組みは、本校と相手側とが個々に打ち合わせをして行っている。次年度も行うかどうかは明確ではないところもある。大学と県教委とで連携協力の覚書の調印が行われているが、学部と附属校園が一体となって、県教委と連携協力をしていく骨組みや具体的内容・方法を今後、検討していく必要があるように思う。「香川大学教育学部と香川県教育委員会との連携協力に関する取り組みについて」という文書を、最近目にすることがあった。そこには附属学校園に関わる事項も載っていた。関連事項については、実務担当者会等に附属校園代表者の参加も必要でないかと考える。 

第3回学部・附属学校園教官合同研究集会に参加して
                          附属高松中学校 江口 俊史
 
 附属高松中学校に赴任して,はや一年になろうとしています。何もわからないまま学生の教育実習も指導しました。非教員養成系大学出身の私にとっては,教育実践総合センターの先生方のご苦労などまったく知りませんでした。教育学部教官と附属学校園教官が一堂に会し,県教委・教育センターと学部・附属との連携の現状をお聞きすることで,この一年手探りでやってきた仕事の意味が少しわかったような気がします。
 教育実習での公立学校との連携などは,教員養成に関する取組みとして今後さらに必要
になってくるのではないでしょうか。即戦力として教育現場で活躍できる教員を育成する
ためには,附属学校だけでの実習では十分に実践的指導力が身についた実習生を育成できないような気がします。教職5年経験者研修や指導力向上研修では,附属学校で実践授業を行うことで教科指導力の充実を図り,地域の学校教育に貢献していけるものと思います。しかし,義務教育課・教育センターと附属教員の指導内容における役割分担の明確化を図る必要性を私も感じました。この分野での県教委との連携のあり方をさらに検討する必要があるのではないでしょうか。また,各種研究会での講演や助言なども公立学校の課題にかかわっていくためには,非常に重要だと思いました。
 法人化への移行で,教育学部・附属学校園の存在や役割が問われている今日,地域の教育研究機関との連携の重要性を認識させられる研究集会でした。
 
 
学部・附属学園の目指す方向の再確認
                          附属坂出中学校 片岡 孝暢
 
 学部・附属学校園教官合同研究集会はこれで3回目であるが,部会方式や一斉方式等運営の先生方の苦慮が窺えた。今回,独立行政法人化への移行等の現下の状況について,妻鳥学部長様からお話を聞き,私たち(学部・附属学園)が置かれている立場や今後の果たしていかなければならない役割等が少し見えてきたように思う。その後,学部・附属から県教委や教育センターとの連携の現状と今後の課題が報告された。
 特に,七條先生からの報告から,学部が多岐にわたって連携・協力,新しい取組を行っていること,また現況をグローバルな視点から捉え直してみることでそれぞれの事項の繋がりや大切さがわかってきたように思う。
 今,教育界は大きな渦のように動いているが,公民的資質を培い,より一層民主的で平和な社会を築いていくためにも,「地域との連携」という視点から,教え育てることの意味を問い直し,学部や附属学園の目指していく方向を共に再確認したいものである。


附属学校としての役割と地域の中の附属であること
                           附属養護学校 斉藤 恵子

 今年で第3回目の合同研究集会に参加させていただきました。妻鳥学部長先生より「法人化への移行」「教員養成担当学部・附属としての学部・附属をめぐる現下の状況について」という我々の今一番関心の高い内容についてのお話があり、大学の現状と動向について今後の附属のあり方について示唆をいただきました。
 また、本会の主題である「香川大学教育学部と県教育委員会等との連携に関する取り組み」について、七條先生より教育実習に関するもの・教員研修に関わるもの・クライストチャーチ大学との連携について・学習状況調査・学校評価など多岐にわたる取り組みについて、お聞きすることができ今後の附属の在り方や現在進めている取り組みについて再確認をすることができました。そして、六附属の各校園から県教育委員会や地域との連携や研修の在り方についての実践内容が報告されました。互いの学校園の情報を得られる貴重な場をいただけたことは、学園の教官にとっていい機会でした。今後六附属・大学とが連携しつつ附属としての取り組みや地域に貢献していかなければならないと確信いたしました。
 三度目の懇談会では、顔なじみになりました大学の先生方とゆったりとお話することができ、このような和気あいあいとした雰囲気の中でより一層大学を身近に感じることができました。こうした大学の先生方や附属の方々の支援を支えに附属養護学校として実践できることを着実に進められるよう職員一同努力してまいりたいと思います。


県教育委員会・教育センターと学部・附属との連携の現状と今後の課題
                            附属幼稚園 塩田 知子

 連携という言葉がよく聞かれるようになっている。特に学部との連携、異校種間の連携、等。なぜ連携なのか。それは、平成13年11月に「国立の教員養成大学・学部の在り方に関する懇談会」の報告書が出され、再編・統合問題で揺れる中、附属学校園の設立意義として、「附属学校が附属する国立大学又は学部における児童、生徒又は幼児の教育又は保育に関する研究に協力し…学生の教育実習の実施にあたる」ということが繰り返し述べ
られたことによるだろう。
 今回、「県教育委員会・センターと学部・附属との連携の現状」ということで、発表させていただいたが、幼稚園については教育委員会等との連携は、研修会の会場校を引き受けたり講師等派遣を行っているが、学部を通じた連携はあまりできていない状態である。附属学校園は、学部としての附属であるから、教育委員会や学部と連携・協力していくことは当然であると考えている。ただ、連携ありきではなく互いに益がある連携を望みたい。 会の持ち方についてであるが、学部・附属学校合同研究集会は、今回で3回目である。時間の制約上、短時間での報告という形で会が進められたが、大勢の先生方が集まる貴重な時間でもある。大学の先生方や教官が意見を言い合える機会としての研究集会の在り方を期待したい。


学部と附属との連携のありかたについて
                             理科教育 金子 之史

 今なぜ異組織間に連携・協力が必要なのであろうか。その一因は現代の組織が肥大化しそれぞれがその機能性を追求することによって縦割化し,同一の問題をかかえる異なった組織への理解や協力が不十分となってきたからであろう。
 異校種間や学部と附属間の連携の意義は一種の「異文化交流」や「異文化理解」に類比することができる。「異文化理解」には@異なった立場から自分を見ることによって自己の見方の偏りを知るという自己認識の深化,A相手への信頼感と相互理解の育成,B共通の基準づくりと将来の方向形成,Dユーモアの精神をもつ,などが基本である.
 ここで,約4年前から始まった附属幼稚園と附属坂出小学校低学年間の「幼小連携」による交流の事例を紹介してみる。交流のはじめ頃は,幼稚園児が広い小学校の運動場にいくと,どこに何があるかわからず不安感をもち,小学生も幼稚園児を異分子のようにとらえていた。ところが3年間の交流によって幼稚園や小学校の教師も子どもたちも,自然に接し話をしたり運動場の各所で一緒に遊ぶようになった。昨年度末の休み時間,幼稚園教師と小学校1年生たち(連絡進学の幼稚園修了児をふくむ)とのドッジボールでは,はじめ小1年生たちは幼稚園の先生の実力を甘く見る様子であった。しかし,先生の投げるボールの勢いや正確度からしだいに真剣になり幼稚園の先生を見直し,成長した自分たちに合わせたあらたな楽しみ方をするようになった。また,小1年生たちは年少・年中児と接することで自分の幼稚園時代を振り返り,成長した自分を認識し自己客観化がうかがえた。
 大学・学部と附属学校園の交流によって,幼・小・中の子ども,大学生,教職員,および保護者たちといった種々の関わりが生みだす意義も上述の「異文化交流」につながると思われる。交流の実践によって,子どもたちに将来の生きる目標がみえてくるように,我々大学人も学生への指導目標があらたな視点からより多角的に設定できるのではないか。教師,学生,子どもたちからなる三角関係があらたに構築され,自分の将来と過去の育ちの過程を吟味しその中で学習や教育の意味を考えなおすことができる。このように異文化体験は,その時々の自分を見直すことによって人の一生への見通しを問い直し,人がいかに生きるかという教育の蘇生につながると私は考える。


学部と附属の一層の連携を願って
                              理科教育 西原 浩

平成13年11月に報告された「国立の教員養成系大学学部の在り方に関する懇談会」の報告を見るまでもなく、これからの教員養成系大学学部において学部と附属の一層の連携が求められている。本学部においても平成12年度から学部・附属学校の合同研究集会が開かれるようになり、連携あるいは一体性の重要性の認識が学部や附属学校内に広がってきた。教育実践総合センター内にもいくつかのプロジェクトがあり、学部教官と附属教官の共同研究が行われている。そのプロジェクトの成果も着実に得られており、また各附属学校の研究も高く評価されている。しかし国立学校設置法施行規則にあるように、附属学校は附属する国立大学又は学部における児童、生徒又は幼児の教育又は保育に関する研究に協力することを一つの目的として設置されており、この点からの学部主導による附属学校を機関として巻き込んだ共同研究が推進されることを期待したい。
 また昨年5月に教育学部は香川県教育委員会と連携協力に関する覚書を結び、両者の連携協力が図られることになった。その中で、指導力不足等教員の研修を教育学部が担当することになっているが、その実務は附属学校が受け持つことになる。これから覚書の実行に伴って、県との連携協力においても附属学校との連携が一層増えてくるものと思われる。学部の中に附属学校に関わる様々な日常的な業務(教育実習だけでなく)を担当する委員会や事務組織の立ち上げが検討されてよいと思われる


教育改革に学部は対応できるのか
                             保健体育 野崎 武司

 学校現場に足を踏み入れると、改革への取組みの勢いに驚かされる。私は数々の奔走する教師たちに出会い、着実に学校を変えていく姿に敬意を感じつつ、改革に伴う痛みのようなものも味わってきた。ある研究指定校で中核となって働き、土台を一から造り上げながら、転勤先で全く別畑の仕事に専念しなければならない教師。校内であるプロジェクトを一身に負ってリードしてきたにも関わらず、人事配置の都合から、別のプロジェクトのチーフとして一から始めなければならない教師。彼らを見ていると、自分の選んだ研究に専念できる大学教官の地位が如何に恵まれているか痛感する。現在の教育改革の根は、教育システムの不全に対する国民の不満にある。それに実質的に対応しようとする学校はまさに血まみれの努力をしている。学部も同等の努力を払わなければ、変貌する学校現場に取り残される一方ではないか。
 私は大学教官は、研究が第一だと思っている。しかし、その有意味性を世に(学会だけではなく広く国民に分かるように)提示していかねばならない時代に入っていると思う。
研究に専念できる環境を整えるためには、そうした努力が不可欠だと思う。しかし、そうしたものを我々学部は、実践センターと附属に押しつけてきたのではないだろうか。研究環境の整備のためにこそ、論文づくりプラスαが期待されていると思う。


第3回学部・附属学校園教官合同研究集会に参加して
                             音楽教育 岡田 知也

 昨年12月11日(水)に開催された「第3回学部・附属学校園教官合同研究集会」に参加した。今回は以前のような分科会等はなく、学部と各学校園が個別に活動報告を行い、その後懇親を深めるという実施形態であった。平素研究・教育に携わり、また学会や地域の教科研究会等において重要な役割を果たし、そのことに忙殺されている教官が、会自体は短い時間ではあるが万難を排して一同に会することは非常に意味のあることと私は考えている。それには難しい理由があるのではなく、お互いに顔を知り、知ってもらうためである。
 私は昨年度より月に数回程度、教科外活動の研究のため附属高松中学校に継続して足を運んだ。その間、大阪教育大学附属池田小学校の痛ましい事件があり、附属の門扉も常時閉ざされるようになった。あの頃の状況では、私は学部の人間とはいえ、附属の(特に子どもの)側から見れば怪しい部外者と見なされて当然のことで、許可を得て入校すべきであった。しかし幸いなことに、私は不審者扱いされることもなく、滞りなく研究を継続させていただいた。当時は他の土地から香川大学に赴任して5年足らずであったが、赴任当初から附属学校園の研究大会等には可能な限り参加してきた。平たく言えば「顔を売ってきた」効果を実感できた瞬間であった(と私は勝手に思いこんでいる)。今回も教育実践総合センターのスタッフが尽力して、このような合同研究集会を企画して下さることで、附属の先生方に私は一層「顔を売る」ことができるのである。そのことは、教育実践の最前線を研究のフィールドとする私にとっては始めの一歩なのである。

平成14年度公開講演会「新しい学習指導要領と情報教育の展開」報告

 教育実践総合センターでは、毎年、全国的にご活躍されている先生をお招きし、公開講演会を開催しております。
今回は、講師に永野和男先生(聖心女子大学教授)をお迎えして、平成15年2月22日(土)に標記テーマで開催いたしました。
 永野和男先生は、教育工学を基盤とした開発研究を主な研究内容として、教師支援システム、遠隔共同学習、学習支援ネットワークシステムなどのコンピュータシステムの開発、情報教育カリキュラム開発と教材開発・授業研究など、コンピュータの学校教育における利用に関する多方面な研究活動を行っておられます。
新学習指導要領の改訂では、高等学校において、新たな科目として「情報」が設けられました。そして、各教科等の指導に当たって学習指導の充実を図るように、生徒がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用することが求められています。また、各学校ではコンピュータ及び情報通信ネットワークの導入が進められており、各教科等における学習効果を高めるとともに生徒の情報活用能力を高める指導の工夫が今後一層重要となるものと考えられます。
そこで今回の講演では、インターネットの教育利用の推進、NHKなどの情報教育番組の企画、文部科学省・情報教育の推進等に関する調査研究協力者会議委員等でも積極的な活動をしておられる永野先生の豊かな研究をもとに、新しい学習指導要領の視点から、これからの情報教育の展開についてお話いただきました。
 参加者の方々には大変にご好評で「話がわかりやすく、教育の情報化の目的がよくわかった」「総合的な学習の背景にあることや、今後の動向に良く分かったし、情報教育のあるべき姿が、本を読むよりも良く分かった」などの感想をいただきました。(文責 田上)

平成14年度 第3回教育実践集中講座 実施報告
テーマ 「教職を目指すには −学校現場での教育実践−」

 教育実践総合センターの阪根健二客員教授(坂出市立白峰中学校教頭)、間嶋浩客員助教授(東讃教育事務所指導主事)による標記の講座が開講されました。
 今回は、「教職を目指す学部生・院生等が,今後学校現場でいかに取り組むか、また,教員採用試験にどう対応するのかを学校現場での実践をふまえて演習する実践的講座」と
いう趣旨で、下記の日程・内容で開講されました。

日    時 場 所 内   容 備   考
2月22日(土)
13:00〜16:00
 

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講義・演習1
授業づくり1「子どもがいきいきする発問の仕方と授業構成」
(阪根,間嶋)
学校休業日のため,現職教員の参加可
2月26日(水)
14:00〜17:00
 

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講義・演習2
授業づくり2「香川型指導体制における少人数指導について」(間嶋,阪根)


 
 今回の講座も大変具体的で示唆に富んだものであり,参加した学生にとって有意義なものでした。
 阪根先生ならびに間嶋先生は,この3月末をもちまして,客員教員の期間が終了されます。両先生には,この教育実践集中講座の毎回の企画実施をはじめ,いろいろな局面で香川大学教育学部ならびに教育実践総合センターを支援していただきました。この場をお借りして厚く御礼申し上げるとともに,今後とも様々な機会に学部・センターとの連携ご協力を賜りたく存じます。(文責 田上) 
平成14年度 附属高松小学校 初等教育研究大会を終えて
 
1 研究会の概要
○ 楷の木活動,英語学習,全教科学習,ふれあい 学習の授業公開と分科会
○ パネルディスカッション
   「今,子どもにつけい学力とは」
○ 講演
「確かな学力を向上させるための学校の取り組み」東京学芸大学 教授 児島邦宏先生
2 研究主題とその解説
(1) 研究主題
 21世紀に生きる人間づくりの教育
−基礎・基本の確かな習得とかけがえのない個性を最大限に生かし能力を伸ばす学びの創造−
(2) 研究主題の解説
 私たちは,一人一人の子供が持つ才能に目を付け,その伸長を図り,一人一人の社会的自立を促す教育をすることこそ新しい学校教育の方向であると考えている。本校が考える「才能」とは,物事の真理を追究し,本質に迫り,事を巧みに成しうる資質・能力であり,その子らしい,その子ならではの特性や能力である。また,才能は秘めた部分が多く,レベルの違いこそあれ全ての子供が持ち合わせているものであると考えている。そこで,こうした才能を開花しながら,未来社会に夢と希望を持ち,社会の一員としてよりよい生き方を求め,たくましく創造的に自己実現に取り組む子供を育成す



















るため,「教科学習」「しらうめ 楷の木活動」「ふれあ
い学習」で教育課程を構成する。
 本研究では,「才能の伸長」の視点から,以下の2点を研究開発内容の柱としたい。
@ 教科教育については中学校教育を視野に入れ学年枠や校種枠をはずした「つまずき」の 分析に基づく学習内容や指導法の改善と「発展的な学習」の開発に取り組む。
A 個性と創造性に富んだ人材を育成する観点から教育課程に「newしらうめ 楷の木活動」を新設し,一人一人の才能を伸長する教育活動を企画・実施する。

 
3 今年度の研究内容と成果
(1) 研究内容
@ 午前のカリキュラムを教科教育で構成し,校種枠を超えて中学校教育も視野に入れた「つまずき」の指導や発展的指導を行い,才能の伸長の基盤をつくる。
A 午後のカリキュラムは才能伸長の時間「newしらうめ楷の木活動」で構成し,子供が自己の探究と創造の活動に取り組む中で,積極的に一人一人の能力・特性を伸ばす。
B 「才能の開発」においては,体験活動や「本物(人・物)との出会い」の中で,学ぶことの意義や目的を見出し,自ら学び,進んで物事に挑戦しようとする意欲や態度を育てることが重要である。
C 子供の社会性を育成することは,才能の伸長において欠かせない要件である。
(2) 成果
 教科学習では,県下の教員を対象にした「つまずき」の調査を行ったことで,つまずきの傾向を把握することができ,教科の本質に関わるつまずきと指導方法によって解決できるつまずきの2つの面が明らかになった。また,各教科の存在意義を厳しく問いかけることにより,3層からなる基礎・基本がより一層明らかになり,子供たちの基礎・基本の定着度も顕在化できつつある。さらに,教科学習の時間数は削減されたが,学習指導要領の内容を再構成し年間指導計画が作成したことで,指導の内容や方法に見通しがもてた。
 楷の木活動では,低学年では,「芽生え」を促すために,様々な体験に浸る機会を設けることで,その子の見取りをより豊かにしていくことができるという方向性が見えてきた。中学年では,子供たちの希望を聞いた上で設定したコースから,子供がコースを選択することで,子供の意欲が活動に大きく反映された。高学年では,課題設定,課題解決を行うことができる活動をめざし,子供一人一人に責任感をもたせるという意味でも有効な方法であった。
4 今後の研究課題
 教科学習では,学習指導要領の内容を再構成し本校独自のカリキュラムができつつあるが,まだまだ教科の枠組みが先にある。教科や校種の枠組みにとらわれることなく,教科の本質をさらに見極め,もっと大胆で新しい発想で内容を考えていくべきである。
 楷の木活動では,低学年,中学年,高学年の活動内容の系統性と内容面の深まりについてさらに検討していくことで才能伸長への礎としたい。
 
 
附属坂出小学校「教育学部教官との共同研究」報告
 
                          附属坂出小学校 佐蛛@仁
 今,学校教育では,全ての子どもに対して「基礎・基本」を確実に定着させるとともに,進んでいる者にはさらに発展的に力を伸ばしていくことが求められています。これを受け,本校では学力を「基礎・基本」と「豊かな学力」と捉え,中でも「思考力」の育成と評価に絞り,研究を進めています。
 去る2月4日(火)に大学の先生方にお集まりいただき,第6学年社会科「みんなの願いとわたしの願い」の授業をもとに,本校の研究についてご意見をいただきました。
 県道の拡張工事に対する住民の願いやそれを調整する政治の働きを,これまでの経験や家族の声,県坂出土木事務所の方へのインタビューを基に描いていきました。
 本時は「立ちのきたくないという住民の願いを県はかなえなくてよいのか?」が課題になりました。市の発展や道路の安全性向上など,たくさんの人々の願いをかなえるべきで,少数派には目をつぶるしかない。多くの子どもはこのような二者択一的思考に陥っていました。現実社会における問題解決を思うと,ある目的に向けて多面的にアプローチする思考を培う必要があります。
 そこで,沿線の家に自宅をあてはめ,住民の心情を想像する場面を設定しました。そうすることで,子どもは社会の発展だけでなく,立ちのき住民への対処が県の行為として欠かせないことに気付き,その方向からも思考を進めていきました。
 また,他の事象に転移する思考も身に付けさせたいという願いから,道路工事に対する政治の働きを「瀬戸大橋」にあてはめて考える場も設定しました。
 大学の先生方からは,転移の場を同一単元だけでなく,次単元や他教科に位置付けてもよいのではないかというご意見や,集団における思考についても研究を進めてほしいというご要望をいただきました。 
 


第62回国立大学教育実践研究関連センター協議会 報告
 
日時:平成15210日(月)会場:東京学芸大学 総合メディア教育館
出席者:湯浅恭正・松下文夫・宮前義和
 センター協議会では、まず、センター協議会会長近藤勲先生の開会のあいさつがありました。近藤先生は、大学の再編・統合、独法化の中で、センターがどうあるべきかをワーキンググループにおいて検討していると話されました。ワーキングループの検討結果については、「教員養成・現職教育のカリキュラムとセンターの役割」という報告がなされました。続いて、会場校あいさつとして上野一彦東京学芸大学副学長よりお話がありました。
その後、山下憲一郎文部科学省高等教育局大学課教育大学室調査係長より、来賓あいさつがあり、以下の事柄を述べられました。(1)大学の再編・統合は、教職に対する意欲と専門性を高めるためにどのように教員養成カリキュラムを用意するのか、またカリキュラムに携わる大学教員の意識をいかに高めていくかというソフト面に対応するための一つの手段にすぎない。(2)そうした中でセンターの果たす役割は大きく、センターの成果を各大学がいかに継承、発展させていくかを検討してほしい。(3)実績については、各大学で組織として把握しておいてほしい。
それから、上記の「ワーキンググループ報告」、「各部会の今期の活動と来期の課題」、「各センターの近況と将来構想」がありました。その後の部門会議では、私は、教育臨床部会に参加しました。上月正博文部科学省初等中等教育局特別支援教育課課長より、「特別支援教育の動向と今後の方向」と題した講演をいただきました。「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実体調査」によると、「知的発達に遅れはないものの学習面や行動面で著しい困難を示すと担任教師が回答した児童生徒の割合」で「学習面か行動面で著しい困難を示す」児童生徒は6.3%とあり、ADHDLD等と診断を下された児童生徒の割合ではないとはいえ、なんらかの支援を必要とする児童生徒の数の多さが印象に残りました。(文責 宮前)
 
第4回教育実践総合センター講座 実施報告

下記の要領で、標記の講座が開催されました。
日時:平成15年2月1日(土) 14:00〜16:30
場所:香川大学研究交流棟6階 生涯学習教育研究センター第1講義室
テーマ:「学級集団に対する社会的スキル訓練の意義と実際」
講師:教育実践総合センター助教授 宮前義和
趣旨:「日頃の生活における友人、先生、地域の人々などの他者との交流は、子どもたちにとって大切なことがらだと言えます。子どもたちは、友人や先生との交流のつまずきから学校に行きづらくなったり、逆に、そうした人々と円滑な関係を持つことで学校をより楽しいものと感じたりします。
近年、学級(もしくは学校)において、子どもたちの対人関係技能の向上を意図した取り組み(社会的スキル訓練)が注目を集めています。
これまでの研究により、社会的スキル訓練を通じて、子どもたちの対人関係技能の向上、学校におけるストレスの軽減、学校生活に対する満足度の向上などが確かめられています。
学級(もしくは学校)において実施される社会的スキル訓練は、不登校やいじめなどの教育臨床的諸問題を予防し、子どもたちが有している能力(例、対人関係技能など)をさらに向上させる取り組みとして位置づけることができ、実施する主体は学校の先生になると思われます。
本講座では、この社会的スキル訓練について概説し、実際の体験を通じて具体的にご理解いただこうと思っています。」
受講者は、50名でした。受講された方々のアンケートによると、「講演について」は、「大変満足」と「満足」が83%、「普通」が13%、「やや不満」と「不満」が4%でした。また、「勉強になりました。学校で生かせるようにしたいと思います。」といった感想も寄せられました。「会場について」は「大変満足」と「満足」が93%、「日時について」は「大変満足」と「満足」が85%でした。公開講座としては、概ね好評だったようです。今後とも、受講される方々のニーズにあった講座を開催していきたいと考えております。(文責 宮前)


平成14年度 第2回教育実践・臨床研究フォーラム 実施報告
中国と日本の教育と教育改革をめぐって

標記フォーラムを講師に李水山先生をお迎えして,平成15年2月24日(月)に教育実践総合センター3階(集団療法室)にて開催しました。
李水山先生は、香川大学大学院農学研究科を修了後、現在、中華人民共和国の中央教育科学研究所の副教授・農村教育研究室主任(主席)をなさっておられます。
中国の中央教育科学研究所は日本で言えば国立教育政策研究所にあたりますが、文部科学省の研究者の招聘制度により,今回3月末まで香川県にご滞在されておられるということでお話を伺える機会を得ました。
フォーラムには,学部教官をはじめ,中国人留学生のみなさん,現職大学院生の方にもご参加いただき,李先生から中国の教育と教育改革の事情に加えて,李先生が研究の対象にされている韓国の事情についても話題提供いただきながら、参加者のそれぞれの関心に基づいた活発な討論が展開されました。
そこで展開された討論の中で、中国も日本もそして韓国も現在急激な教育改革の最中にあり、お互いにそれぞれが先行している部分があるものの、同じような課題問題を抱えていることが確認され、今後お互いに交流し研究を深めていくことができればという実感を参加者がもつにいたりました。
今後,個人的な交流だけに留まらず、何からの形で中央教育科学研究所ならびにその関連の機関や学校と継続的に交流していきたいと考えております。(文責 田上)
 
寄贈図書(02/12〜03/3)
教育実践総合センター紀要 bW            静岡大学教育実践総合センター
学校教育実践学研究 第8号          広島大学教育実践総合センター
生徒指導研究 第13号          兵庫教育大学生徒指導研究会
平成13年度フレンドシップ事業報告書3          佐賀大学文化教育学部
教育実践研究紀要第12巻 鹿児島大学教育実践総合センター
教育実践総合センターニュース創刊号          鹿児島大学教育実践総合センター
教育実践研究紀要第43号、しのぶそうbP4 福島大学教育実践総合センター
教育実践総合センター紀要 第3号        富山大学教育実践総合センター
学校教育実践センター紀要 bP7       鳴門教育大学学校教育実践センター
愛媛大学英語教育研究第1号 愛媛大学英語教育センター
平成13年度英語教育センター活動報告書        愛媛大学英語教育センター
「ブロードバンドスクール」実証授業中間レポート    ブロードバンドスクールコンソーシアム
平成14年度在外教育施設における指導実践記録 第25集  東京学芸大学国際教育センター
教育実践研究 第2号            大阪教育大学教育実践総合センター
福井大学教育実践研究第27号、NEWS LETTER 第4号 福井大学教育実践総合センター
新免許法に対応する教員養成課程体験的カリキュラムの体系的構築に関する実践的研究  上越教育大学 研究代表者小林辰至
研究紀要1 これからの学校評価の在り方に関する研究    香川県教育センター
研究紀要2 基礎・基本の定着を図る少人数指導の在り方に関する研究 香川県教育センター
研究紀要3 不適応行動を示す児童生徒への理解と支援に関する研究 香川県教育センター
研究紀要4 情報通信ネットワークを利用した学習コンテンツの活用に関する研究 香川県教育センター

【センター活動報告  (02/12〜03/3) 】
12月 9 日(月)│第8回専任会議
12月11日(水)│第4回フレンドシップ事業実施専門委員会
          │第3回学部・附属学校園教官合同研究集会
          │教員養成モデル・カリキュラム研究開発プロジェクト
12月19日(木)│教員養成モデル・カリキュラム研究開発プロジェクト
12月24日(火)│総合的学習と教育課程に関する研究開発プロジェクト
1 月 8 日(水) │教員養成モデル・カリキュラム研究開発プロジェクト
1 月10日(金) │第3回香川大学教育実践総合研究編集会議
1 月14日(火) │遠隔公開講座実施委員会
          │第3回県・大学間ネットワーク研究会
1 月16日(木) │教員養成モデル・カリキュラム研究開発プロジェクト
          │総合的学習と教育課程に関する研究開発プロジェクト
1 月17日(金)│MMP指導者養成講座
          │教員養成モデル・カリキュラム研究開発プロジェクト
1 月21日(火)│第9回専任会議
1 月26日(日)│第7回軽度発達障害研究会
1 月27日(月)│第4回香川大学教育実践総合研究編集会議
1 月30日(木)│教員養成モデル・カリキュラム研究開発プロジェクト
2 月 1 日(土)│第4回センター講座
2 月10日(火)│国立大学教育実践研究関連センター協議会
2 月12日(水)│第10回専任会議
          │教員養成モデル・カリキュラム研究開発プロジェクト
2 月17日(月)│第5回県・大学間ネットワーク研究会
2 月18日(火)│総合的学習と教育課程に関する研究開発プロジェクト
2 月21日(金)│教員養成モデル・カリキュラム研究開発プロジェクト
2 月22日(土)│第4回公開講演会
          │教育実践集中講座(2回)
2 月24日(月)│第5回企画推進委員会
│第2回教育実践・臨床研究フォーラム
2 月25日(火)│第6回県・大学間ネットワーク研究会
3 月 3 日(月)│第7回県・大学間ネットワーク研究会
3 月 5 日(水)│第2回多様な通信ネットワークを利用した遠隔教育に関する研究会
3 月 9 日(日)│第8回軽度発達障害研究会
3 月10日(月)│第4回管理委員会
3 月13日(木)│第11回専任会議
3 月18日(火)│教員養成モデル・カリキュラム研究開発プロジェクト
          │総合的学習と教育課程に関する研究開発プロジェクト
 
【センターからのお知らせ】

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│ 第3回 教育実践・臨床研究フォーラムのご案内     │
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 下記の日程で、標記の研究会を実施いたしますので、多数ご参加くださいますようご案内いたします。
日 時  平成15年3月24日(月)13時〜15時
場 所  教育実践総合センター3階 集団治療室
テーマ  これからの教員養成のあり方を考えるU
−教育実習を軸とした実地教育全体の構想−
提案者  七條正典(教育実践総合センター)

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│ センタースタッフの異動について    │
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 平成15年3月31日をもって、異動されるセンタースタッフがおられます。
 教育実践集中講座等でお世話になりました阪根健二客員教授と間嶋浩客員助教授は、任期満了となります。4月からは、新たにお二人の方を客員教員としてお迎えする予定です。
また、長年センターの非常勤事務官として事務補佐に携わっておられた宮内キヨミさんは、香川大学学生部学生課に異動されます。
 4月からは新しい体制になり、しばらくの間、センターをご利用の際には、ご迷惑をおかけすることもあろうかと思います。どうぞよろしくお願いしたします。

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│ 教育実践総合研究第7号原稿募集  │
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 『香川大学教育実践総合研究』第7号は、5月30日(金)原稿受付締切です。奮ってご投稿されるのをお待ちしております。
 なお、投稿予定者は、予めセンター事務室までお申し込みください。

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│ 貸出物品について  │
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 今年度、新たに液晶プロジェクター(NEC ViewLight 260J)を購入しました。ご利用希望の方は、事前にセンター事務室までお申し込みください。