1             平成11年7月28日発行



      目 次


教育実践総合センター開所式 挙行!!

除幕する妻鳥学部長と藤本センター長


 香川大学教育学部附属教育実践総合センターの開所式が、平成11年7月8日(木)に香川県金森越哉前教育長をはじめとする県下の教育関係機関関係者や香川大学近藤浩二学長以下、学内関係者総勢約80名の出席の下に、教育学部第3会議室において挙行された。
 式典は、金森越哉香川県教育長(当時)の祝辞、近藤浩二香川大学長の挨拶、妻鳥敏彦教育学部長の挨拶に続いて、センター長によるセンターの概要説明が行われた。その後、センター玄関前において、センター銘板(教育学部の小西憲一助教授による書が刻印されたものである)の除幕が行われた。





附属教育実践総合センター開所式祝辞

香川県教育委員会教育長 金 森 越 哉

金森教育長 香川大学教育学部附属教育実践総合センターが,本日めでたく,開所の運びとなりましたことを心からお慶び申しあげます。
 二十一世紀を目前に控えた今日,社会の様々な分野で広範かつ急激な変化が進んでおります。子どもたちを取り巻く環境は,暮らしが豊かになり,教育の量的拡大が実現される一方で,家庭や地域の教育力が低下し,いじめや不登校,さらには学級崩壊といわれるような現象が問題となってきております。
 県教育委員会におきましては,こうした状況を踏まえ,子どもたちが学ぶことの楽しさや自己実現の喜びを味わうことができるよう,分かりやすい授業,楽しい学校づくりを推進するため,教員研修の充実や指導方法の改善,特色ある教育課程の編成に努めております。また,家庭や地域社会と連携し,地域全体で子どもの成長を支えていく学校づくりにも取り組んでいるところであります。
 このような中,教育実践研究指導センターが改組され,地域の教育に関する研究の中核施設として,また,人間性豊かな総合的な教育実践力をもった教員の養成施設として,教育実践総合センターが開所されますことは,誠に時宜を得たものであり,今後,本県教育の向上・発展に大きな役割を果たすものと確信いたす次第であります。
 県教育委員会といたしましても,当センターとの密接な連携のもと,教育現場が直面する諸課題に積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますので,皆様方の格別のお力添えを賜りますようお願い申し上げます。
 最後になりましたが,香川大学教育学部のさらなる発展と,御列席の皆様方の一層の御健勝,御活躍を心からお祈り申し上げまして,お祝いの言葉といたします。


学長挨拶

香川大学長 近 藤 浩 二

近藤学長  教育学部附属教育実践総合センターの開所式にあたり,一言ご挨拶申し上げます。
 附属教育実践総合センターの発足を心からお慶び申し上げるとともに,関係者の皆さんのご努力に感謝申し上げます。
 振り返ってみますと,昭和47年,本学教育学部における教育工学に関する先進的な研究が高く評価され,全国に先駆けて教育工学センターが設置され,教育工学に関する拠点として多くの実績を残してきました。また,昭和58年,それまでの教育工学センター及び教育学部の実績が評価され,教育実践研究指導センターに拡充改組され,教育工学,教育課程・方法や教師教育など教育実践に関する研究を積み重ね,附属学校との連携協力を通じて,教育学部の公立学校など教育現場との窓口として大きな役割を果たしてきました。さらに,近年のいじめ,不登校など深刻な教育問題やそれに対処する教員の資質能力の向上に関する本学教育学部の取り組みが高く評価されて,今日の教育実践総合センターへの拡充改組が実現したところであります。
 教育実践研究指導センターの関係者の皆さん,そして教育学部の皆さんのご努力に改めて敬意を表する次第です。
 いま,学校現場の状況は,ますます深刻さを増し,教育問題に関する総合的な研究と教員の資質能力の向上が一層期待されているところであります。拡充改組された教育実践総合センターならびに教育学部がこの期待に応え,附属学校との連携協力のもとに,学校現場の諸問題の解決と教師教育の改善のために一層教育研究を発展させられることを期待いたしております。
 昨今,国立大学は行財政改革や18才人口の減少のもとで大変厳しい状況に置かれており,大きな変革を要請されております。その中心的課題は,教育研究の質の向上と社会貢献であります。本学もすでに,教育研究の質の向上をめざして,実践的な課題解決能力の 育成を目標に学部4年一貫の教育課程の編成と個々の授業改善に向けての取り組みを開始してきているところであります。また,地域との共同研究をはじめ特色ある研究の育成など研究のあり方についての検討も課題になっているところであります。
 教育研究の成果を通じて地域の課題解決に貢献することは,本学の存立の基盤を強化するものであります。
 教育実践総合センターが期待される機能を発揮し,教育学部の教育研究がますます発展することをご期待申し上げるとともに,文部省,香川県教育委員会をはじめ関係機関のこれまでのご支援に感謝申し上げ,また今後のさらなるご支援ご協力をお願い申し上げまして,ご挨拶といたします。


学部長挨拶

教育学部長 妻 烏 敏 彦

妻鳥学部長 本日は数育学部附属教育実践総合センターの開所式を挙行するに際し,御多忙の中,学内外から御列席賜り,学部を代表して厚く御礼申し上げます。
   Put new wine into fresh wineskins.(新約聖書)
 すなわち「新しい酒は新しい革袋に盛れ」と指摘されておりますが本年4月に改組・転換が認められまして以来,時間的余裕もなく施設等は既存の状態で看板のみを改めて開所式を迎えることになりました。やがて改修も予定しておりますが,本日のところは広く御理解の程を願い上げますと共に,むしろ新しい出発に向けて,並々ならぬスタッフの意気込みを優先させていると御賢察くだされば有り難く存じます。
 さて学部附属センターの歴史を振り返りますと昭和47年(1972年)に教育工学センターとして設置され,教育機器やコンピューターを教育方法・手段として活用化をはかり,工学的アプローチによって教育・学習のからくりを科学的・実証的に究明すること,その成果を附属学校を含め地域の公立学校にも役立てることに期待がありました。その後臨教審による教員の養成,採用,研修についての基本的な提言がなされ,それに続く教育職員養成審議会の答申を受けて昭和63年に戦後最大と言われる大幅な免許法改正が行われました。そこに至る論議の過程では学校教育の内容の変化に対応し,教員の実践的な指導力の基礎を培うために,情報機器の活用による教育の方法・技術、生徒指導・教育相談等の科目必修化や教育実習の充実策として事前・事後指導の導入が示唆されておりました。このような教職科目関連の強化をはかる方策は学部と附属学校の連携強化や教員養成に関わる教職専門学部としての責務と自覚を強く求めるようになり,学部附属教育工学センターも教育実践研究指導センターへの転換が急務となっておりました。
 その背景の下で本学部でも昭和58年(1983年)に転換を行い,情報教育や学習分野担当の専任教官を中心に教育実践研究部門の活動を本格化させ今日に至っているのであります。
 さらにここ数年来,時代の変化への対応や社会の強い要請に基づき,教員の資質向上への多面的な改革・改善策が急テンポで講じられてきております。
 例えば養成段階では,教育方法・内容の見直しを含めたカリキュラムの構造的改革・改善策、採用段階では豊かな人間性,得意分野や実践的力量などが評価項目として重視され,研修段階では,大学・大学院を積極的に活用する方策が具体提示され,すでに実行段階に入っております。平成12年度から新免許法が実施されることになっており,そこでも学校現場の実情に適切に対応できる知識・技能及び実践力が強く求められており,教員養成段階での大学の責務もいっそう重くなってきているのであります。
 以上,附属教育工学センター設置以来27年間の歴史を振り返りつつ現状を適確に理解し,これからの総合センターとしての新しい出発に際して,次のような視野に基づいて活動方針を見定める必要があると考えております。その最たるものは社会経済構造の転換に基づく規制緩和の方向であり,その一環としての地方分権化の流れであります。これからの地域の教育・文化の振興は,県教委と大学のパートナーシップによって支えられていく部分が大きく,従ってこれからのセンターの活動も,その点に留意する必要があります。すでに香川県教育委員会と香川大学教育学部はパートナーシップについて数多くの実績を誇っており,全国的にも良き参考例に挙げられていることは心強いものであります。今一つは県下の学校教育に関わって日夜奮闘している教師のためにも可能な限りの支援体制を強化することであります。総合センターへの拡充策として教育臨床研究部門を増設したことには理由があり,学校現場の諸課題の解決に向けて相談窓口の機能発揮に強い期待があるからであります。
 このような学内外からの負託に応えるべく総合センターの新活動と役割には大きな期待がかかるのであります。どうか,御参列の皆様の暖かい激励と心強い御支援をお願い申し上げ,開所式の挨拶といたします。


センター長挨拶「新しい出発に向けて」

教育実践総合センター長 藤 本 光 孝

 教育実践総合センターは、教育工学センター並びに教育実践研究指導センターの歴代のセンター長をはじめセンター関係者が築いてこられたよき伝統を引き継ぎながら、学部と附属学校園とが一体になって学校教育に関わる実践的な諸問題を、香川県下の教育関係機関と連携しつつ、総合的に研究する役割を持った附属施設として、平成11年度に拡充・改組されて新たに出発することになりました。
 本センターの役割は、学部と附属学校園とが一体となり、それに香川県下の教育関係機関との連携の強化を図りながら学校教育に関わる諸問題を総合的に研究していくことを通して、地域の学校教育のニーズに応え、教育実践力のある教員の養成に資することにあると考えております。
 これらの役割を達成するために、本センターには、従来からの教科学習の指導や教師教育に関する部門に加えて、教育相談や生徒指導に関する部門が置かれています。これらの部門は、本センターの専任教官に加えて、教育実践の経験豊かな客員教授を中心に構成されますが、本センターの使命を具体化するためには、学部教官並びに附属学校園の教官がこれらの部門の活動にも加わっていただくことが欠かせないことと思っております。
 本センターは開所式でのご祝辞やご挨拶のおことばにありますように、本センターにお示しになったご期待にお応えできますよう努力を積み重ねてまいらねばならないと思っております。学部教官並びに附属学校園の教官の皆様はもちろんのこと、香川県下の教育関係機関の方々の本センターの活動に対するご理解とご協力をお願い申し上げます。


センタースタッフ紹介

 教育実践総合センターとして新たな出発のために設置されたセンター管理委員会委員、並びに、センター企画推進委員は以下の方々です。

センター管理委員会

学部長 妻鳥敏彦
評議員 木原溥幸   教務委員長 上杉正幸   財務委員長 藤本光孝   教育実習委員長 寄田啓夫
附属高松小学校長 西原 浩   附属坂出小学校長 金子之史
附属高松中学校長 安西一夫   附属坂出中学校長 岡田泰士   附属養護学校長 中塚勝俊
センター長 藤本光孝   専任教員 松下文夫   専任教員 住野好久
企画推進委員 湯浅恭正   企画推進委員 長谷川順 一

企画推進委員

湯浅 恭正(障害児教育)   長谷川 順一(数学教育)   繪内 利啓(障害児教育)
佐藤 明宏(国語教育)    毛利 猛(学校教育)    柳 智博(技術教育)