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「ウクライナ危機に関するワークショップ」を開催しました

2022年04月07日

 令和4年3月29日(火)17:00からマイケル・シーユン・リュウ、ピッツバーグ大学/上海交通大学教授、村山聡本学名誉教授、ジャルコ・ラザレヴィッチ、リュブリャナ現代史研究所教授を講師に「Historians’ talk on Ukraine from Slovenia and Japan(スロベニアと日本からウクライナについて語る歴史家たち)」と題したセミナーが開催されました。セミナーは、スピーカーの方の講演と、ディスカッションで構成され、ノルウェー、ドイツ、スイス、モンゴル、韓国、オランダなど内外54名の参加がありました。
 最初に、主催である野﨑武司教育学部長から開会のご挨拶があり、時代・情況に対応した新しい社会科学の必要性について言及されました。次いで、村山教授からセミナーの趣旨説明がありました。その中で富の不自然な集中が、「資源戦争」と呼んでもいい事態を生み出し、一部への富の集中を回避する方法としての生命空間研究つまり自足圏を検討する時期に来ていることが述べられました。
 続いて3名の歴史家の講演に移りました。リュウ教授は、地政学、グローバリゼーションの崩壊、人新世について言及されました。そして今回のウクライナーロシア戦争が起こった理由、21世紀に新たな冷戦を起こさないためにはどうしたらいいのだろうかという問いかけがありました。学生が戦争をテレビゲームのように議論していることを危惧し、戦争と私たちを取り巻く自然とのつながりについて、もっと考えるべきであると締め括られました。次に村山教授から、先の提案に続いて、戦争を回避するためには、新たな自足圏が必要かもしれないこと、しかし他方で、ロシアが中国やインドとともに世界経済からの孤立・独立を目指した場合の影響についての問題提起とともに、ウクライナの気候、自然植生、宗教、土壌、鉱物資源について詳細な分析がありました。ジャルコ教授からは、ロシアが国際関係において攻撃的になった理由について地理的、戦略的な観点など様々な視点からの分析がなされ、これが新しい世界秩序にどのような影響を与えるのかについての問題提起があり、最後に、ロシアのウクライナ侵攻はどのような理由があったとしても言い訳できないとのコメントがありました。
 質疑応答は予定時間を過ぎるほど活発になされ、高木・寺尾教授のコメントでセミナーは終了しました。本活動は、香川大学教育学部が推進している SDGs教育プロジェクトそして環境経済史研究会(HAELE)の活動の一環として、香川大学ICEDSの企画の下に実施されました。


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