平成14年度 学長裁量研究経費報告書
香川県教育委員会・香川大学教育学部連携によるe‐Learningシステムの構築に関する研究
平成15年3月
香川大学教育学部附属教育実践総合センター
報告書抜粋
「はじめに」と「おわりに」
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目 次
ま え が き ……………………………………………………………………
は じ め に ……………………………………………………………………
香川県・香川大学教育学部連携のための
遠隔教育システムに関する研究 …………………………………
黒田 勉・松下 文夫
◇Learningの試行研究
−ライブカメラ中継による遠隔研修システム・モデルの提案− ……
松下文夫・黒田 勉
教育用ディジタルコンテンツの有効利用に関する研究 ………………
山下 明年・竹本 恵一・赤坂津代志・松下 文夫
お わ り に ………………………………………………
は じ め に
大学の地域貢献及び地域連携の一つとして、教育学部附属教育実践総合センター(以下、総合センターという。)では、香川県教育センター情報教育課(以下、教育センターという。)から客員研究員を迎え、総合センター専任教官および同企画推進委員と共に研究プロジェクトを組織して、香川県が平成14年11月に整備した新世紀高速通信ネットワークのうち、香川県教育委員会管轄のKEI‐netを活用したe‐Learningシステム・モデルの構築を目指した。
1.研究目的
本年度に整備されたこの教育用ネットワーク(以下、KEI‐netという。)は、香川県立高等学校間を100Mbps~1OMbpsで接続したもので、これにより動画の双方向通信が可能になった。また、次年度からは香川県下の小・中学校へもこの通信レートでの基盤整備を随時拡大していく計画である。
そこで、このネットワークを最大限に活用するため、本研究プロジェクトは、e‐Learningを最終目標としながら、それに迫るために本年度は、次の3つの側面から研究推進した。
1つは、動画を中心としたデジタル・コンテンツを蓄積し、児童・生徒の要求に対じて供給できる教材データベースの構築に関すること。2つは、児童・生徒向きのデジタル・コンテンツの利用による基礎・基本の修得や教師の教育研究など、その流通促進に関すること。3つは、通信ネットワークを利用した遠隔研修システム・モデルの構築に関することなどである。
2.研究経緯・概要
(1)教材データベースの構築
KEI‐netは、、外部組織とは直接、情報の交流ができない仕組み、いわゆるWANであるため、研究プ ロジェクトは、KEI‐netの端末回線を香川大学教育学部キャンパスへ付設する方向で、教育センターか ら関係部局への働きかけを依頼した。しかし、年度途中の新規事業であったため、本年度中の回線工 事は困難で未完成に終わっている。
そこで、教材データベースの構築に関する研究では、教材データベースのシステム・モデルを、既存 のキャンパスLANの中で構築して、情報の蓄積と流通に関する基礎的な実験を行った。
(2)デジタル・コンテンツの教育利用
デジタル・コンテンツの教育利用に関しては、情報処理振興事業協会および側コンピュータ教育開発 センターなどが、ミレニアムプロジェクタ「教育の情報化」政策の一つとして、学校や家庭などにおいて 利用できる学習用画像素材を既に開発している。しかし、良質のコンテンツがありながら殆ど利用され ていないという問題があった。そこで、教育的利用を促進させることをねらいとし、教科における指導で 特に学習・指導に利用した際に教育的な効果が高いと思われるコンテンツを取り上げ、学習指導案の 学習過程に位置付けたモデルを作成し、併せて、実践による評価を行った。
(3)遠隔研修システム・モデルの構築
上述(1)のように、教育学部キャンパスにおけるKEI‐netの端末回線が未整備のため、総合センター から、遠隔地の研修会場と双方向通信手段(以下、ビデオ会議装置という。)を用いた遠隔研修システ ムが構築できないため、本年度は、総合センターが平成13年11月からインターネット上で試験放送を 開始しているライブカメラによる中継システムを用いた遠隔研修を行った。本システムは、本来、総合 センターからの放送型であるため、受講者からの質問・意見等を受け付け、さらにそれらに基づいて 授業を再考し、即時対応することができない。そこで、今回は、携帯電話、FAX、E‐mailなどのメディア 利用により、擬似的ではあるが双方向の対応を実現した。
お わ り に
本研究プロジェクトは、香川大学の地域貢献および地域連携に係わる香川大学と香川県教育委員 会との協定書による事業として組織し、「香川県教育委員会・香川大学教育学部連携による e‐Learning システムの構築に関する研究」を主題とした。研究は、平成15年度、教育学部に高速通信 ネットワークであるKELnetの基盤が設備されることを想定し、それが活用できるシステム・モデルの提 案を目指して共同研究を推進した。
1.研究成果
本研究は、教材データベース・システムの構築、デジタル・コンテンツの教育利用および遠隔研修シ ステム・モデルの構築の3つを対象として実施した。
1つ目の、データベース・システムの構築に関する研究では、ライブカメラによる中継システム、動画 のデジタルコンテンツを、利用者の要求に対応して配信できるビデオ・オン・デマンド配信システム、
および児童・生徒用教材データベースを対象とした。その成果は、学校教育現場の教員が構築したシ ステムを理解し、これを活用できるための啓発用小冊子として抜き刷りして配布できる形にまとめるこ とができた。そのために平易な文章表現と理解を助けるためのイメージによる表現に努めた。
2つ目の、デジタル・コンテンツの教育利用に関する研究では、デジタル・コンテンツの利用方法が分 からないという教育現場からの質問に応えるため、教員の教材研究と児童・生徒の学習活動を支援す
るねらいのもとで優良なデジタル・コンテンツを選択し、これらを学習過程の各段階に位置付けた学習 指導案の形でまとめ、教育センターのホームページ上で公開することができた。
3つ目の、遠隔研修システム・モデルの構築に関する研究では、ライブカメラによってインターネット上 で講義が配信できる放送型配信と、受講者の質問・発表に応える多メディア利用の双方向システムを 統合した遠隔研修システム・モデルを構築し、試行実験によってシステム改善のための条件を抽出す
ることができた。
2.今後の推進計画
平成15年度にKEI‐netの基盤が設備されると、構築した各システム・モデルを改善しながら本格運用を目指した共同研究を行う。その例として、教材データベース・システムに関しては、現在接続している学内LANからKBI‐netに接続変更をして運用試験を継続する。また、遠隔研修システムに関しては、総合センターから教育センター向けの講義を随時配信することで、センターの所内研修を支援しながら、双方向型遠隔研修システムの完成度の向上を目指す。さらに、香川県内の小、中、高等学校等へと接続先を拡大しながら、システムの一般化を検討するととなこ、e‐Learningのための教材コンテンツを含むソフトウェアの最適化を検討していきたい。