★☆★☆ ⇒《話題!!》

研究、教育、そしてメッセージ・・・・・・・井 忠昌先生に聞く・・・・・・

 

今日は、この10月より教育学部の副学部長になられた井先生にお話を聞きまし

た。

 

――どうも、いつも色々とお世話になっています。今日はお忙しいところを時間を

割いていただき、ありがとうございます。改めてお聞きするのも変な感じですが、

先生ご自身について、自己紹介ということで、簡単にご紹介ください。

たかい:1987年から香川大学教育学部で働き始めましたから、もう22年も香

川大学に勤めていることになります。その前は、民間の会社で設計の仕事をしたり

して、3年ごとに職場を変えていた時期もありました。こんなに長く一つの職場で

働くことになるとは思っていませんでした。教育学部では、中学校技術の教員養成

に関わる授業を担当しています。そのほかにも附属小学校の校長などの職務を体験

してきました。

 

――では、先生のご研究の主なものを簡単にご紹介ください。

たかい:私自身の研究課題は、原子レベルでのコンピュータシミュレーションです

が、研究時間が取れずあまり進んでいません。学部生や大学院生が行う研究課題は、

中学校技術の授業で利用できる教材作りが主なものです。例えば、木材加工の授業

の際に利用できるCADシステムをJava言語を利用して作成しました。また、

肢体不自由者の支援のための、音声制御を利用したテレビチャンネルの変更などの

制御システムや、視覚障害者のための点字プリンタの試作なども行いました。

 

――先生は最近、特別支援教室の先生と共同研究をなされているそうですが、それ

についてご説明ください。

たかい:特別支援教室「すばる」では、通常学級で様々な問題を抱えている子ども

たちや教員の支援をしています。例えば、子どもたちに対する指導で利用できる「

多機能タイマー」の開発を行っています。このタイマーは、通常のキッチンタイマ

ーの他に、音声による開始や終了のアナウンス、発光ダイオードによる時間の経過

の表示などの機能を備えています。第1号の試作機は既に完成し利用されています

が、思った以上に、サイズが大きくなってしまいました。第2号機では、携帯がで

きるようなサイズにまで小型化をしようと計画しています。

 

――へー、そうですか。それは楽しみです。ところで最近、先生は多数の留学生を

担当されているそうですが、ご紹介頂けますでしょうか。

たかい:中国からの留学生を2名受け入れています。一人は教育学部に入学して、

中学校技術と小学校の免許を取得して、今年の4月から教育学研究科に進学をした

学生です。もう一人は、昨年の10月から研究生として教育学部に在籍している学

生で、主に日本語の勉強をしています。大学院生は、日本人とほとんど区別がつか

ないほど日本語が身についています。今回、キャリア支援センターが企画したビジ

ネス日本語を受講し、香川大学における留学生の中では、日本語能力試験がトップ

の成績だったそうです。将来、日本の企業に就職を希望しています。もう一人の研

究生は、今大学入学試験のための準備をしています。私自身も海外留学の経験があ

り、留学生の苦しみや問題などがある程度わかります。2人とも知り合いの全くい

ない場所で、アルバイトをしながら勉学を続けている苦学生です。過去の自分自身

と重なる部分が多く、できるだけの支援をしようと思っています。

 

――大変そうですね。では最後に、香川大学の学生に向けてメッセージをお願い致

します。

たかい:香川大学の学生は、地元の香川県や近隣の岡山県出身の学生が大半を占め

ています。県内や四国・中国地区の身近な事がよくわかる反面、大都市部での動向

などをあまり知らない学生が多いのではないでしょうか。就職活動にしても、大都

市部では企業訪問や就職試験の準備をかなり行っているようですが、香川大学の学

生はそれほどでもないように感じています。教育学部に関して、教員採用試験につ

いても、もっと準備をしてから試験に臨んだほうがいいと思う人たちをよく見かけ

ます。自分自身の尺度をもつのは良いことですが、世の中は広く自分の想像もつか

ないような努力をしている人たちが多くいることを、ぜひ認識してほしいと思いま

す。

 

――「井のなかの蛙」にならないようにしなければいけないですね。自戒したいと

思います。本日は、貴重なお話を頂き、どうもありがとうございました。

(たかい ただよし:教育学部教授、技術・情報講座)

 

香川大学メールマガジン  第128号    2009年11月12日