★☆★☆ ⇒《話題!!》
「ベストティーチャー」・・・・・・・・・大久保 智生先生に聞く・・・・・・

――こんにちは。今日は例の垂れ幕の件で参りました。
 ああー、あの件ですか。いやー、お騒がせしました。

――2ヶ月ほど前、幸町キャンパスの五号館にばかでかい紅白の垂れ幕が下がって
いましたね。どこかの運動部が全国大会で優勝したのかと思ったら、「ベストティ
ーチャーおめでとう」という言葉と共に、大久保先生ともうお一人の先生のお名前
が書かれていました。思わず笑ってしまいました。うちの大学があそこまでやった
のは初めてです。まずはベストティーチャーおめでとうございます。ご感想をどう
ぞ。
 すごい垂れ幕でしたね。私も笑ってしまいました。最初見たとき、甲子園出場か
と思いました(笑)。

――今まで学部単位のベストティーチャーはありましたが、今回は前期の全学共通
科目で、全学ベストティーチャーふたりのうちのひとりということになります。ど
ういういきさつで選ばれたのですか。
 すいません。実はあまりよくわかっていません。学生のアンケートで一番よかっ
たと聞いて、ホントに私でいいの?と思いました(笑)。私の授業は正統派ではな
いと思いますので。でも、まあ、そうは言ってもありがたいです。

――担当された授業は共通の「心理学D」でしたね。私も試験監督でお手伝いしま
したが、学生の人数がずいぶん多いですよね。
 約300人くらいかと思います。ただ、きちんと把握していません。テスト一発
勝負で出席とっていませんので。毎回8割以上の学生は出席してくれてるみたいで
す。

――そんなにいたんですか。ふつう、人数が多くなればなるほど雰囲気が悪くなっ
て、授業評価が低く出てしまう傾向があるのですが。大人数の授業をうまく進める
こつがあるのですか。
 いやあ、それがよくわからないんです。僕は不真面目なんで、出席とっていませ
んし、単位がとりやすいわけでもないですし。むしろ単位をとりにくいと思います。
こつかどうか知りませんが、媚びたら終わりだとは思っています。私語などは決し
て許しませんし、進度も速いので学生には厳しい授業だと思います。私の性格上、
笑いも絶えませんが(笑)。ただ、私語は厳禁と言っていますが、居眠りするのは
かまわないとは言っています。むしろつまらなかったら寝てくれと。居眠りするな
んてやる気がないという方もいますが、居眠りする学生にやる気がないなんて言っ
てもしょうがないですし、だったら授業の内容で起こしてやろうと思います。
 それと、進度については、ボーっとしてたらついてこれないくらいの速さだと思
います。加えて、今年は大事なことは何かというのを考えてもらいたくて、スライ
ドのコピーを配りませんでした。スライドが変わるのが早いと毎回の感想に書かれ
ましたが、次の回にはあえてもっと早くしました。まあ、無茶苦茶ですね(笑)。
でも、最低限大事なことを書き取る時間はとります。全部写そうとしている要領の
悪い学生には大事なことは何か考えろと言います。こうやって振り返ると、結構ひ
どい授業だなあと思いますね。

――そんなにひどい授業なのですか?
 どうなんでしょうか。まじめにやっているのですが、ふざけているように思われ
ているかもしれません。でも、基本的に授業に関係のない雑談はしません。昨日、
どこに行ったとか、何を食べたとか、授業に関係のない話は絶対にしません。そん
なことで学生の関心をひいてもしょうがないですし。学生に雑談だと思われること
も心理学に関する話です。導入になるなら、ニュースでも自分の身におきた話でも
なんでもネタにします。それに、話がとびまくっているように見えて、よくよく考
えてみると一本スジが通っているようにしています。そこだけは大事にしています。

――なるほど。話がとびまくっても学生がついてこられて、全学部の学生の評価が
高いというのはすごいですね。それほど心理学の知識が求められているということ
なんでしょうか。
 心理学の知識が求められているというよりは、心理学に興味がある人は多いです。
ただ、学生が抱いている心理学のイメージは、びっくりするくらいひどいものです。
ですので、血液型性格判断の話や心理占いの話や少年犯罪の話など、学生が興味も
っている内容を入り口にして、心理学って面白いなと思ってくれればいいなと思い
ます。ちなみに、少年犯罪の話などは今やっている自分の研究でもあるんですけど、
自分自身が話してて面白いことを授業でやっているとも言えます。感想に「話して
いる先生が一番楽しそうだ」などと書かれますが、そうだと思います。

――お話を聞いていて、先生が感じている自分の学問の面白さがストレートに学生
に伝わっているような気がしました。今日はどうもありがとうございました。
 こちらこそどうもありがとうございました。
(おおくぼ ともお、教育学部准教授、心理学)

   香川大学メールマガジン  第110号   2008年12月18日