★☆★☆ ⇒《話題!!》 
・・・―学生論文「日銀グランプリ」で教育学部生の優秀賞受賞について―・・・
                   ・・・・植田 和也先生に聞く・・・・

――今日は教育学部の植田先生の研究室にお伺いしました。早速ですが、3名の学
生を指導されて「日銀グランプリ」での優秀賞受賞おめでとうございます。全国2
位にあたる大変な賞の受賞ですが、1か月たった今の感想を・・・。
うえた:えー。嬉しくて光栄ですが、本当に大変な賞をいただいたのだと・・・。
時間がたちマスコミ等でも取りあげられ、賞の重みと責任を学生共々実感していま
す。決勝の5チームに残っただけでも信じられないという思いがありましたが、そ
のなかで東京大学経済学部や早稲田大学政治経済学部といったまさに経済や金融の
専門のチームの内容よりも評価していただいたことは、有り難いと感じています。
その時は、「やった!奇跡が起きた」といった感じでした。きっと学生も同じよう
な感じであったと・・・。

――そうですか。では学生がこのグランプリに応募するきっかけはどのようなこと
だったのですか?
うえた:はい、それは香川県金融広報委員会という県内の金銭・金融教育を支援す
る組織があります。そこの依頼等で県内の金銭・金融教育に私も関わらせていただ
いています。その関係で9月くらいに、日銀高松支店からこのような取り組みをす
るのだが、学生に紹介してほしいということで・・・声をかけました。数名に声を
かけた中で反応があったのが、今回受賞した3名です。ちょうど社会科の学生とい
うことで中学校の教科書でも金融に関する内容があるので、「ぜひ、やってみよう」
と。さらに、「もしかして、東京の日銀本店に行けるかも・・・」なんて、甘いさ
さやきをしたかもしれません。

――なるほど。また、県内でも金融教育が取り組まれているのですね。それでは当
日までの苦労や悩み等で、特に大変だったことはどのようなことでしたか?
うえた:テーマが「突破口を探せ。私たちが考える日本の“金融力”向上作戦」と
いうことでした。ですから、教育学部の学生にどのような切り口で取りかかってい
こうかということが、最初の難題でした。いろいろと頭を抱えながらみんなで悩み
ました。その中で、「教育学部としての良さを生かしたい、現実を捉えて身近なと
ころに目を向けよう」としました。つまり、専門的な政策提言ではなくて、「経済
を専門としない学生だからこそ、何ができるのか」を何度も何度も話し合いました。
そこから、金融用語のアンケートや附属の子どもたちの意見を聞いてみようといっ
た考えが出てきました。それと、いかに論文として、提言としてまとめるかという
ことでした。これは、当然ですが何度も何度も集まり、苦しみました。

――やはり、大変な過程があったのですね。当日の発表では、先生も引率されて行
かれたとお聞きしましたが、様子はいかがでしたか?
うえた:日本銀行本店の建物が目に入ってきたときに、遂にきたという感じで、そ
れだけで緊張感が漂ってきました。ちょうど前日にそこで量的緩和解除の重要な会
議がありましたので、何度もニュースで見ていました。その同じ建物に自分たちが
今から入るのだという、何とも不思議な感じでした。学生もそう感じていました。
その緊張から冷静さを取り戻すのに大きな力となったのが、木村前学長です。当日、
応援に駆けつけてきて下さり、私たちよりも先に会場に到着されていました。
 建物の中に入ってても他大学の学生や応援の方たちの雰囲気に負けそうなときに、
ソファにどっしりとした笑顔の木村先生の姿が目に入りました。私はその時に大き
な安心感を感じました。香川大学教育学部は、木村前学長と後藤学務係長と私の3
名だけの応援でしたが、木村先生の存在は学生にも大きな支えとなりました。発表
までは、学生もいろいろと考えていたようでしたが、いよいよ明治大学、東京大学
に続き3番目の順番での発表でした。話し出すと学生もいつもの練習のように堂々
とした感じでした。
プレゼンは無事終わったのですが、問題は質疑応答でした。どのような内容が問わ
れるのか、心臓が止まりそうなドキドキハラハラの大変長く感じた10分間でした。

――そうなのですか。他大学の発表はいかがでしたか?
うえた:さすが経済等を専門にしている学部からの発表だと、ただただ感心ばかり
でした。私もよく分からない言葉が次々と出てくるような内容の発表でした。
 その中でも最優秀の明治大学のプレゼンは3名の日常会話風にまとめたもので共
感を得ていたのでは・・・と感じました。実は、香川大学も一部に2人の掛けあい
風にした部分を取り入れていたので、お互いに「えっ?!」という感じでした。

――ところで、今回の内容をどこかでご披露はしないのですか?
うえた:はい、実は4月26日に教育学部の山神先生の司会により、午後3時から
415教室で当日と同じように発表をします。ぜひ、多くの人に聞いてほしいと思
います。論文の詳しい内容等についてもその時にぜひ・・・・。

――では、最後に今回の受賞を通して、香川大学の学生たちへのメッセージとして
一言お願いします。
うえた:努力は報われるということと、「やれば できる!」ということです。
今回、論文を作り上げていく過程を通して学生が成長したなぁと強く実感しました。
(私にとっても一生の思い出になりました。)

――今日はどうもありがとうございます。
(うえた かずや、教育学部助教授、学校教育)


   香川大学メールマガジン  第53号   2006年4月20日