★☆★☆ ⇒《研究室の小窓》
1.「なぜ・どうして」の心を大切に――――――――――――――――植田和也

 割り箸から水滴が滴り、緑のシルクが生卵になり湯飲みに入れるとなんと紙吹雪
に、・・・。♪タララ ラララーン・・・♪エレキギターの生演奏で始まったマジ
ックショー。今年の1月、フレンドリー・ナイトスポット「手品の世界へようこそ」
で手品をさせていただきました教育学部の植田です。県教育委員会との交流人事で
香川大学へ勤務するようになり3年目です。ある人は、私のことを詐欺師、だま師
と言いますが、そう言われないように手品師へのランクアップをめざしています。
 ここ数年、手品ブームとなっていますが、皆さんは何か手品をされますか。また、
目の前で見たことがありますか。香川大学にも昨年より手品同好会「メルシー笑ク
ラブ」が発足され、10数名の少人数ですが昼休みを中心に活動を続けています。
 ところで、メルシー(仏語のありがとう)には、次のような思いと願いをこめて
つけました。手品は演者(する人)と観客(見る人)をつなぐことができるもので、
演者から観客へ手で行い相手に届ける品物、所謂手の品、観客に喜んでいただくこ
とで演者も喜びを得る、つまり、ありがとうの気持ちや拍手で互いの心のふれあい
や交流を図られるコミュニケーションともなります。演者は観客に対して見てくだ
さることへの感謝の気持ちをもちながら、観客も演者へ感謝の気持ちをこめた拍手
を通して、まさに喜びと充実感の共有が得られて、互いに笑顔が生まれてほしいと
考えています。
 また、約20年前に私が教育学部の学生であった頃、バドミントン同好会として
「メルシークラブ」を僅か3名から起こし、2年間で約30名を超える団体になり、
数年にわたり活動していました。そのような背景もあり、『手品で笑顔を』の思い
をメルシーにこめて、「メルシー笑クラブ」の誕生となりました。
 昨年は、教育学部のオープンキャンパス「未来からの留学生」でも同好会のメン
バーが活躍して、手品を通して子どもたちと数多くのふれあいをもったり、土曜日
に私立幼稚園のふれあい行事に協力したりすることもありました。
子どもたちの前で手品をすることも多くありますが、その際に私が大切に伝えよ
うとしていることは「考えることの愉しさ」です。目の前で起こる現象に「なぜだ
ろう、どうしてそうなるのだろう?」と、ふしぎだなぁと感じる心を忘れないでほ
しいのです。
 私たちは、日々の生活の中で多くの不思議な現象を当たり前のように感じている
ことはないでしょうか。「なぜ、どうして」の心が萎まないように感性と好奇心を
いつまでも持ち続けてほしいものです。そのようなことから、「もしかして・・・
かな?」といった予想や仮説が生まれたり、知りたい・やってみたいという興味関
心や好奇心が遊びや学習の中でも生かされてくるはずです。
私たち大人もこの「なぜ・どうして」の心を忘れずに、「考える」ことの愉しさ
を味わいながら過ごしていきたいと思います。
(うえたかずや、教育学部助教授、教育科学)


   香川大学メールマガジン  第37号   2005年7月7日