★☆★☆ ⇒《話題!!》 
考えることの愉しさを大切に・・・・・・・・植田和也先生に聞く・・・・・・・

生活の中で「知ることのよろこび」や「考えることの楽しさ・愉しさ」が少なく
なっていないだろうか。何かがあっても、私たちは考える前に頭のどこかで「分か
ったつもり」になって、考えることから逃避しようとしていないだろうか。
 先般、学力に関する様々な調査の中でも学習意欲の低下は大きな問題の一つであ
るという報告がなされた。与えられた課題に対して、「どうせ、できないわ」、「
たぶん無理だろう」といったように全く取り組もうとしない、難しいと感じれば考
えようとしない傾向が見られたそうだ。このようなことは、調査やテストだけでな
く生活全般のなかにも広がりつつあると懸念されている。
 思考力の重要性や自ら考えることの大切さは、学校教育においても繰り返し主張
されてきた。しかし、子どもも大人も、「考えること」=「答えを出すこと」のよ
うに錯覚し、答えが見つからないことに対して抵抗を感じていないだろうか。 
 「人間は考える葦である」の言葉で有名なパスカルは、その著書の中で「われわ
れの尊厳のすべては、考えることのなかにある。・・・考えが人間の偉大さをつく
る。」と記している。また、青色発光ダイオードを発明した中村博士は「自分で考
え、自分で決めて行動する」ことの大切さを強調している。人生の中では答えが見
つからないことの方が多いのかもしれない。答えが見つからなくてもいいから、考
えて考えて考え抜く経験を大切にしていきたい。学生たちにもそのような経験を大
学時代にしっかりとして欲しい。
(うえたかずや、教育学部助教授、教育科学)


   香川大学メールマガジン  第40号   2005年9月29日